熱中症を防ぐには、水分補給が欠かせない。水分と塩分のバランスを取ったり、こまめに飲んだりすることが大切だ。救命救急医の清水敬樹先生(多摩総合医療センター)に、熱中症を防ぐ水分補給の方法を聞いた。(木和田志乃)
だるさや頭痛は脱水のサインかも
暑い季節、運動や外出の後に「なんだかだるい」「あくびが出る」「頭が痛い」と感じたことはないだろうか。これらは、脱水による熱中症の初期症状かもしれない。症状が進行すると、最悪の場合は命に関わることもある。
清水先生は、「頭痛や吐き気、めまい、立ちくらみといった症状は脱水のサインです」と話す。そのほかにも、尿の色が濃くなる、心拍数が上がってドキドキする、といった変化も、体が水分を欲しているサインだ。「特に暑い日は、意識してこまめに水分をとりましょう」

大量の汗には「薄めたスポドリ」
「飲み物は、高校生なら基本的に水で問題ありません」。ただし、激しい運動などで大量に汗をかくような場面では、塩分が失われて、水だけでは足りないこともある。
「スポーツドリンクを2倍に薄めたものがおすすめです。市販のスポーツドリンクは糖分が多いため、そのまま飲むと負担になります」。塩分と糖分を適度に含んだ飲み物は、体への吸収が早く、脱水予防には効果的だ。
「渇きの感覚」に注意し水分補給
水分補給のタイミングも大切だ。「汗のかき方によって調整は必要ですが、予防的に飲むなら30分から1時間に1回が目安です。1回につき200ml前後飲むのが理想です」
「喉が渇く前に飲もう」という注意喚起は、高齢者に向けたもので、高校生にはあてはまらない場合もある。「高校生は『喉が渇いた』感覚がしっかりあり、そのタイミングで飲めば十分です。ただし、部活や外出で忙しい時は、あらかじめ時間を決めて飲むのがよいでしょう」
塩分タブレットは1日5~6個まで

市販されている塩分補給用のタブレットについても注意が必要だ。「塩分タブレットは水分を補給してくれるわけではありません。水と一緒に摂取するのが基本です。お菓子感覚で何個も食べてしまう場合もありますが、1回につき1個、1日5~6個が目安です」
熱中症は、誰にでも起こり得る身近な危険だ。体のサインを見逃さず、こまめな水分補給を心がけよう。
清水敬樹先生(多摩総合医療センター)
しみず・けいき 東京都立多摩総合医療センター・救命救急センター部長。熱中症や救急救命治療などに専門的に携わる。