日本女子大学は11月17日、創立時から120年以上続く家政学部の募集を2027年度を最後に終えることを明らかにした。同大は近年、新学部を相次いで設置しており、2028年度以降は「ファッションデザイン学部」(仮称)などが加わり9学部体制となる予定。(西健太郎)

1901年から続く「看板学部」、新学部に「伝統受け継ぐ」

篠原聡子学長は「家政学という名はなくなるが、家政学が培ってきた伝統は(新学部に)受け継がれる。学部の専門性を高め、新たな女子総合大学に発展させる」と構想を話す。

家政学部は1901年の創立当初から続く「看板学部」(同大)。卒業生は約3万9千人に達する。篠原学長は家政学部について「設立時から自然科学分野を含むなど非常に現代的で、文系・理系を併せた実践的な学問として発展し、各界で活躍する人材を育ててきた」と語る。一方で、「時代とともに『家政』は『家の中』という小さな意味にとられがちになった」(永田典子副学長)ことを課題と認識するようにもなった。

家政学部を改組した新学部などを発表する日本女子大学の篠原聡子学長(右から2人目)ら幹部(2025年11月17日、文部科学省内の記者会見場)

建築デザイン、食科学など新学部を続々新設

そのため同大は2020年代に入り、家政学部の住居学科を前身とする建築デザイン学部(24年)、食物学科をもとにした食科学部(25年)、家政経済学科を改組する経済学部(仮称、27年予定)など新学部の計画を次々に進める。従来の学科を「株分けし、(学外から)見えやすくし、新たな分野を加えて発展させる」(篠原学長)のが狙い。新学部は「家政学部の中にあるより高校生に届き、学生募集にプラスになっている」(永田副学長)という。

その結果、家政学部は27年度までに2学科に縮小する見込みで、残る被服学科を2028年度に科学やアートに加えビジネスの観点も重視するファッションデザイン学部に改組し、同年に児童学科などをもとにした人間科学部(仮称)も開設することで幕を閉じることになった。9学部体制となり、学部間の連携も重視する方針という。

「定員は十分充足、大学は個性」意義を強調

近年、共学化する女子大学が増えているが、篠原学長は「定員割れはなく、十分充足している。女子大学であることは個性。女性であることにとらわれない環境で創造性が育まれる学生がいる」と女子大学を維持する意義を強調している。来年から在学生と卒業生らのキャリア形成を支援する新組織も立ち上げるという。