全国の国立大学でつくる国立大学協会は6月25日、新会長に東京大学の藤井輝夫総長を選んだ。東大総長が会長を務めるのは12年ぶり。任期は2年間。

「国立大学は知の拠点、国民とのコミュニケーション豊かに」
この日の総会後に記者会見に臨んだ藤井会長は、「一人一人がどうウェルビーイング(心身が健康で幸福な状態)を実現するかが世界の課題」と強調。国立大学は「日本が全国につくり上げてきた知の拠点であり、これを活用していくことが一人一人のウェルビーイングにつながる」という考えを示し、「国民の皆さんとのコミュニケーションを豊かにして、支持をいただけるようにしたい」と抱負を語った。
副会長には、寳金清博・北海道大学総長、越智光夫・広島大学長、梅原出・横浜国立大学長、喜納育江・琉球大学長の4人が選ばれた。

任期満了で退任した永田恭介前会長(筑波大学長)は歴代最長の6年間(3期)務めた。2024年には全国の国立大学の財政が物価高騰などを受けて「もう限界」とする声明を出すなど厳しい状況を訴えながら、国の「知の総和」を増やすことに国立大学が貢献する将来像をまとめ、社会の支援を求めた。
国立大学協会は、85の国立大学が協力して教育や研究、社会貢献活動をめぐる将来像を描いたり、大学が直面する課題についての提言や要請をしたりする一般社団法人で、入学試験の実施方式などの調整もしている。(西健太郎)