大林組は、日本一高い建物の「東京スカイツリー」など、大規模な建設物を手掛ける「総合建設会社」だ。採用担当の根本一哉さんに、建設業界が社会に果たす役割や、求める人物像を聞いた。(文・黒澤真紀、写真・椎木里咲)

インフラから巨大な建物まで建設

―総合建設業が社会に果たす役割は?

オフィスビルや市役所、学校、病院、商業施設といった身近な建物から、道路・トンネル・鉄道の線路などのインフラまで、幅広く作る役割を担っています。

大林組は、日本の建設業界の中でも特に規模が大きく、技術力、国際的なプロジェクトの遂行力を持つ「スーパーゼネコン」の一つです。2012年に完成した「東京スカイツリー」や20年に開業した「高輪ゲートウェイ駅周辺」、23年3月開業の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」など、高校生のみなさんにとってもおなじみの、多くの大規模プロジェクトを手がけてきました。

採用担当の根本一哉さん

建築・土木・電気・機械・物理・化学…専門性を生かす

―どんな部署がありますか?

大林組のものづくりの最前線は、全国各地にあるビルや、さまざまなインフラを建設している工事事務所です。それだけでなく、社内には営業部門、設計部門、工事に必要な資機材の調達部門、研究開発部門、DX部門、総務や経理のような管理部門など、さまざまな部署があります。

大林組は建設会社ですが、建設事業だけにとどまらず、不動産開発事業や再生可能エネルギー事業にも取り組んでいます。「宇宙エレベーター」のように、さらなる新事業を生み出す部署もあるんです。

チームを組んで協力しあう

―建設プロジェクトでは、互いにどう協力しているか教えてください。

いわゆる「現場監督」として働く施工管理のほか、設計や見積もり、営業など、いろいろな専門性を持つ人たちが協力しながらプロジェクトを進めます。

営業は、お客さまへの提案内容を決めるために、設計担当に「どんなデザイン・構造が最適か」を相談し、見積もり担当に「費用や工期」を確認します。研究部門には「どの工法が適切か」といった技術面を尋ねることもあります。

受注後は、設計担当が図面と仕様を細かく詰め、施工が始まると建築・土木・電気設備・クレーン手配など、専門分野の技術者が一斉に関わります。 

さまざまな職種が連携して仕事を進める

―どのように仕事を進めていくんですか?

企業から依頼やコンペ情報を受け取ると、営業が中心になり、社内の設計・見積もり・研究など各部署に声をかけてチームを組みます。例えばエスコンフィールドHOKKAIDOでは、天然芝を使うために「寒い地域で芝をどう育てるか」の研究が必要になりました。専門家に相談し、アメリカのメジャー球場の事例を調べるため設計担当と一緒に現地を視察したりもしました。

資格は入社後に取得すればOK

―必要なスキルや資格はありますか?

職種によって異なりますが、施工管理技士のように実務経験が必要な資格もあるので、入社後に取得すれば問題ありません。1級建築士などを持っていれば心強いですが、必須ではありません。

文系からも約2割採用

―文系でも働けますか?

文系出身者も全体の2割ほどいて、毎年一定数が入社しています。ただ、ものづくりの中心となる建築・土木の仕事により深く関わりたいのであれば、理系の学科で学んだ方のほうが選択肢は多いです。施工管理だけでなく、設計、営業、積算・見積り、DX、研究開発など、自分の希望に合った働き方がしやすくなると思います。

人との関わりを前向きに楽しめるか

―どんな人に来てほしいですか?

一番大切なのはコミュニケーション力です。建築・土木・設備・機電など、職種ごとに専門が分かれていますが、どの仕事も他の部署と連携しながら進みます。社内外の多くの人と話し合い、力を合わせてプロジェクトをつくっていくので、人との関わりを前向きに楽しめる人が向いています。

建設の現場は天候や周囲の状況で予定が変わります。変化に対応できる柔軟さや、宇宙エレベーターのような新しい分野にも挑戦してみようと動ける姿勢を持つ人に、ぜひ仲間になってほしいですね。 

株式会社大林組

 

1892年創業。従業員数は9386人(2025年3月末)。日本を代表する総合建設会社(スーパーゼネコン)で、土木・建築を中心に、都市再開発、不動産、エンジニアリングなど多岐にわたる事業を展開。

東京スカイツリーや六本木ヒルズ森タワーなど国内外のランドマークを手がけてきたなど、インフラから新領域まで幅広く挑戦する企業だ。