「はい~」でおなじみ、テレビで見ない日がないほど大人気の芸人・やす子さん。これまでの経験が今の自身にどうつながっていったのでしょうか。将来を模索する高校生たちに向けて、夢をかなえるコツや前に進むためのヒントを語ってもらいました。(文・本間美帆、写真・幡原裕治)
※前編のインタビューはこちらから

センスとはインプットの量

──現在、芸人だけにとどまらず、ナレーター、音楽、マンガなど活躍の幅が広がるばかりですが、やす子さんのように才能を生かすコツを教えてください。

自分は、好きなことなら苦じゃないので、好きな分野に関する情報をひたすら吸収します。例えば、音楽が好きなら音楽をひたすら聴くとか。コツは「とにかくインプットすること」かもしれないですね。

やす子さん

自分的に「センス」っていうのは、インプットした情報量なんじゃないかなと思っていて。売れている人やこれから売れそうな人は、やっぱり誰よりもその分野のことが好きですし、誰よりもインプットしています。自分の周りの人は、夢を語る前に、すでに行動に移している人が多いかもしれないですね。夢を目指しているのなら、本当に好きなことなのかどうかを、いま一度考えてみることって大事かなって思います。

そして、ちょっとでも好きなことや夢を見つけたら、「自分にはやっぱり無理かな」って、思わないでほしいです。「夢がかなう」なんてキレイごとは言いません。でも、いいなって思ったら無理だと思わずに取りあえず飛び込んでみてください。その後でイヤだったら、3日でやめてもいいと思います。

―夢を叶えるコツってなんだと思いますか?

チャンスに気づくこと、チャンスが回ってきたときにつかみ取る準備をしておくことも大事です。例えば、お笑い賞レースの決勝戦に行くことができたって、ひとつのチャンスに過ぎません。平場(ネタ以外。バラエティー番組などでフリートークなどを指す)の準備をしておかなければ、いざテレビ番組に出たときに対応できません。

夢がないって「うらやましい」

──まだ夢が見つからない人はどうしたらいいでしょうか。

夢がないのはうらやましいです! それって(可能性が)無限大なので。自分は高校生のとき、最初は自衛隊になろうとも思っていなかったし、芸人になろうとも思っていなくて。流されたのちに、やってみたいことが見つかりました。取りあえず生きてみたらそのうちやりたいことが見つかると思いますので、生きてみてください。始めるのは何歳からでもいいんです。

高校生に向けて全力でメッセージを送ってくれた

―今、夢はありますか?

子どものころの夢が獣医師さんで、長い人生の中でかなえたい夢でもあるので、歳を重ねたら、ちゃんと勉強するために大学に行ってみたいなと思っています!

流されて見つかる道もある

──やす子さんは高校卒業後、自衛官の道を進み現在にたどり着きましたが、自身の進路選択をいまはどのようにとらえていますか? 

自分は結構流され人生で、自衛隊も誘われて断れずに入っちゃったところがあるんです。でも、結局は流されてよかったなって。初めて社会で経験を積んだのが自衛隊で、学ぶことが多かったです。もしも夢がない人は、いったん流されてみて、流された先でもしもイヤだったらやめてみるのもよし、そのままちょっとその状況に身を置いてみるもよしって思いますね。

──楽しいことも、大変なこともあった高校生活だと思いますが、やす子さんが特に印象に残っている思い出を教えてください。

やっぱり文化祭ですね。中学のときよりも規模が大きくてお金もかかっている文化祭で、自分たちでライスバーガーを作って出店することに、喜びを感じましたね。中学生のときに先生から「中学よりも高校はもっと楽しいよ」って言われていたのが「本当に高校ってもっと楽しいんだな」って思って。いま思うと、一生の内に高校生の時間は3年しかないので、やっぱりあの時間はすごく特別なものだったなって思います

「人の目を気にするな~」って言いたい!

──高校生のときにやり残したことはありますか? 現在高校生のみなさんが、より楽しい高校生活を送るためのアドバイスもお願いします。

もっと遊んだらよかったなって。バイトに部活に忙しかったので、もっと青春がしたかった(笑)。海岸で花火がしたかったし、夜中に自転車で遠出もしたかったです。自分は年末年始もバイトでできなかったんですけど、友達とニューイヤーカウントダウンをしてほしいです!

もっと気を抜いて好きなことをしよう

──確かに、勉強や部活の毎日で、気が付いたらあっという間に3年間は過ぎていきそうです! やす子さんがいま、当時の自分に声をかけるならどんな言葉を送りますか?

「もっと気を抜け~」「好きなことしろ~」「そんなにバイトを頑張るな~」「海外に行け~」「スクールカースト気にすんな、バカっ!」って言いたいです。そのときは高校生活が自分の世界の全てでしたけれど、いま思うと、もっと気を抜いて好きなことをやっても、人生にそんなに影響はなかったなって思いますね。

──春には入学式やクラス替えなど、高校生活のイベントがめじろ押し。高校生活をスタートさせる新入生のみなさんにメッセージをお願いします!

「人の目を気にするな~」「無理して作った友達とはうまくいかない。自然とできた友達を大事にしよう」って言いたいですね! 友達を作るコツは、LINEのアイコンが自分の好きなアニメのキャラだったらそれについて話しかけて、自分の好きなグッズをつけていたら質問してみてください!

やす子 1998年生まれ、山口県出身。17〜19年まで陸上自衛隊に勤務し、その後現所属事務所から芸人としてデビュー。現在も芸人と予備自衛官の二足のわらじで活躍中。バラエティー番組「ヒルナンデス!」「ぐるぐるナインティナイン ゴチになります!」(ともに日テレ系)にレギュラー出演のほか、雑誌『JUNON』でマンガを連載中。公式 X→@yasuko_sma

高校生新聞創刊30周年インタビュー

高校生新聞は2023年10月1日に創刊30周年を迎えました。このインタビューは、過去30年に高校生だった人に高校時代の経験が今にどう生きているかを伝えるリレー連載です。