東京外国語大学は11月6日、次期学長候補に春名展生(はるな・のぶお)教授・副学長を選んだと発表した。文部科学大臣の任命を受けて、2025年4月1日に就任する。任期は4年間。春名教授は1975年3月生まれ。今年4月に教授に昇格して1年での異例の「スピード就任」で、50歳の学長は全国の国立大学の中で「最年少」となる可能性が高い。(西健太郎)
工学部出身の政治学者
春名教授は国際政治学と日本政治外交史が専門。桐蔭学園高校(神奈川)理数科出身。東京大学理科Ⅰ類に入学し、同大工学部都市工学科卒業。大学院は、東京大総合文化研究科国際社会科学専攻で学び、2014年に博士(学術)。著書に『人口・資源・領土―近代日本の外交思想と国際政治学』などがある。
「最年少」の国立大学長となる見通し
2015年に東京外国語大学の大学院国際日本学研究院に講師として着任し、18年から准教授、今年4月から教授。23年から国際担当の副学長も務める。50歳での学長就任は同大最年少。文部科学省や国立大学協会によると、国立大学法人の過去の最年少の学長は不明だが、現役国立大学長の最年少は昨年就任した北海道教育大学の田口哲学長で、現在56歳。春名教授が来年4月に50歳で就任すると国立大の中では「最年少学長」となる可能性が高い。
「意欲的な構想力」など評価
同大では、林佳世子・現学長の任期満了に伴い、選考会議が学内の推薦を受けて投票や面談などの手続きを進めていた。選考対象となったのは、春名教授1人だったという。選考会議は春名教授を選んだ理由として、同大の「未来像を描きだす意欲的な構想力」や、「優れたマネジメント能力」などを挙げた。
「多言語・多文化共生の伝統を継承」
春名教授は「東京外国語大学は、教育と研究の両面で多言語・多文化共生に寄与してきました。この伝統を継承しつつ、社会との連携を深めながら、対話と協働を通して持続的で寛容な社会を創り出していく人々を輩出し、本学の価値と評価を国内外で高められるように尽力してまいります」とコメントしている。