高校生活は友達関係が広がる分、悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。
-
お悩み】太っているのが恥ずかしい…自分に自信を持ちたい
「私はデブ」ダイエットが続かない
私は155センチ62キロのデブです。
最近、ファッションやメイクに興味を持ち始めたのですが、デブなのが恥ずかしくて服屋さんに行けないしメイク道具も買えません。ダイエットをしてみても、意志が弱くて全く続きません。
3日間、間食しなかっただけで、見た目の変化を期待しちゃいます。デブで自信がないので、学校では友達に積極的に声をかけられず、友達は少ないです。
声が小さい、消極的な自分を体形のせいに
ここまで自分の消極的な行動をデブのせいにしてきましたが、問題は見た目だけではないと思います。
高校の同じクラスには、私よりぽっちゃりな女の子がいます。その子は明るく、男女共に仲がいいです。その子を見て、「見た目だけじゃない。中身も大切なんだ」と思いました。
でも私は気が弱く、人の顔色を伺いながら話したり、友達との会話を聞かれるのが恥ずかしくて声が小さかったり、いろいろ面倒くさいです。学校など人がたくさんいる所に行くと、自分の悪口を言われているような気がして心が疲れます。
遅刻癖もある…自分に自信を持ちたいよ
毎朝「学校に行きたくない」と心の中で駄々をこねて、遅刻したり遅刻ギリギリに着くようになったりします。担任の先生には何度も「次は遅刻するなよ」と言われていて、そのたびに「次は絶対しないぞ」と決意するのですが、朝になると冷静に考えられなくなります。先生に申し訳ないし、こんな自分が嫌です。遅刻癖も直したいです。
話が全然まとまっていなくて申し訳ないですが、とにかく自分に自信を持ちたいです。心の持ちようをどうしたらよいと思いますか?(高2・女子・千葉県)
【回答】あなたを弱気にさせる「ささやき」に惑わされないで
自分の容姿やお友達付き合い、どちらも高校生にとって悩ましい内容です。心の持ちようをどうしたらよいかを考えること、変えようと行動することは、とても大切なことです。どうしたらよいか考えていきましょう。
まず相談の文章を読んで驚いたのは、あなたが真摯に自分の内面に向き合っていて、それを率直に表現できていることです。周りの人たちのこともよく見ていますね。素晴らしいことだと思います。
「悪いイメージ」があなたにささやいている
一方で、考え方に「誤作動」が起きていて、苦しい心境が生じているようですね。そして、その誤作動を引き起こしているのが、自分に対する「悪いイメージ」にあるように感じました。もし、その「悪いイメージ」があなたの中にあったら、「周りの人も私をそう見ている」と考えさせられてしまうでしょう。
私は臨床心理士なのでダイエットの方法は分からないのですが、遅刻癖について言えるのは、「学校にいると心が疲れてしまうがために起きている」ので、疲れが軽くなれば自然に遅刻癖もなくなるでしょう。この疲れもその「悪いイメージ」があなたに「遅刻ばかりしてダメなやつと思われている」とささやいてくるために起きているのです。
「楽しい気分で過ごせる自分」をイメージしてみて
話題は少しズレますが、以下のことを想像してみてください。ある日、気が付くとあなたは「悪いイメージ」にささやかれることなく、楽しく、軽やかな気分で過ごせるようになっています。そうするとあなたはどんな行動をしていますか?
朝はどんな過ごし方をして、どんな表情で学校に向かい、学校の友達とどんな会話をしているでしょう? 放課後はだれと何をしていそうですか? できるだけハッキリ、具体的に行動が想像できるといいと思います。たくさん想像してみましょう。
行動が想像できたら、その中で「今でもできる行動」が1~2個はあると思います。ぜひ実行してください。できるだけ想像に近いようにです。
「悪いイメージ」にささやかれることなくできた行動は、相手の印象も普段と違ったものが返ってくることでしょう。「あれ? なんかいい感じ♡」と好感を持たれることだってあるはずです。
「ささやき」に惑わされないで
大切なことはあなたが「あ、今『イメージ』が私にささやいている」「私を弱気にさせようとしている」と気づくこと。そして、例えばいつもだったら悪いイメージに「小さくさせられていた声」を、「相手にしっかり届く声」にするなど、行動を変えてみることだと思います。
まずは、あなた流の「ささやき」を聞き流す方法をいろいろ試してみてください。
大倉さんに相談したいお悩みを募集します
編集部では高校生の読者のみなさんの「心の悩み」を募集しています。
どんなことで悩んで、何を知りたいか、今はどんな状況なのかをLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に送ってください。
メッセージの最初に「大倉さんへの相談」であることと、学年・性別・ペンネーム(希望者のみ。お名前・アカウント名は掲載しません)を明記してください。相談に回答できない場合もあります。記事で紹介させていただく場合は編集部から連絡します。
大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務