先輩後輩、友達、クラスメート……。周囲との「距離感」に悩んだ経験、ありませんか? 臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「後輩につきまとわれて困っている」という悩みに答えてもらいました。
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【お悩み】後輩につきまとわれている
私は後輩みんなに同じような態度で接しています。ですが、最近ものすごくつきまとってくる同性の後輩に困ってます。ぶっちゃけ怖いです……。
他の人とどんな話をしていても、その後輩はすべての話に割り込んできます。何かあればこっちを見て、遠くにいても近づいてきます。つきまとわないでほしいと伝えるべきでしょうか。優しく伝えるにはどうしたらいいか悩んでいます。
周りには相談していないので、「仲のいい先輩後輩」と思われていると思います。お互いに傷つかずにすむ方法を教えてほしいです。(山羊座ちゃん・高校2年女子)
困っているなら伝えていい
落ち着く距離感は人それぞれですが、「つきまとわれている」と感じる距離感は不適切です。「困り感」がたまって大きく膨れ上がり、怒りを相手にぶつけてしまったり、あなたの心身の状態を悪くしたりするのは避けてほしいので、「困っている」と率直に伝えましょう。
自分の気持ちを率直に、その場にふさわしい表現にするには、どのような言葉で伝えるといいのでしょうか。
「私」を主語に具体的に伝えよう
「I(アイ)メッセージ」という言葉を聞いたことはありますか? 「私は~」で始める、自分の気持ちを率直に伝えつつ、相手を否定しない点を大切にする表現です。
今回の話で考えると、「相手がどのような行動だと自分にとって落ち着く距離感なのか」、具体的に伝えることです。例えば「私の話をしっかり聞こうとしてくれるのはありがたいんだけど、『私は』話している人に集中したいから、私が誰かと話している時、話に入るのを控えてね。『私は』その方が落ち着いて話ができるんだ」といった表現です。
「つきまとってくる理由」は何か?
ただ、相手が傷つかない言葉で伝えたいものの、受け取り方は相手次第です。傷つく可能性がある点も頭の隅においてください。そこで、もう一つ考えてほしいのは、つきまとってしまう理由です。
山羊座ちゃんの後輩は、なぜつきまとうのでしょうか。世の中には場の雰囲気を読めず、相手の表情に気が付きづらいため、人への接し方が不得意な人がいます。好きな相手に普通に近づいているつもりが、結果的につきまとう形になり、その点に気付かないケースもあります。
そういった場合、婉曲(えんきょく)的な言葉を遣うと、こちらの意図が伝わりにくいかもしれず、より具体的、かつ明確に伝える工夫が必要になります。
他の部員に協力を得てもいい
他にも、人に近づきすぎる要因として、次のようなことが考えられます。
- ・人への関わり方や、自分の居場所づくりが苦手で、集団生活で不安になりやすい。関わりやすい人がいると安心感が得られるため、極力一緒に行動しようとする。
- ・集団生活における、現実の自分と理想の自分の差が大きい。理想の自分になっていると感じるため、自分が理想とする相手と一緒に行動しようとする。
こういった場合は、伝え方を工夫しても、あなたとの距離感が変わるため相手が不安定になる可能性があります。相手に気持ちを伝える前に「あなた以外にも相手が安心できそうな人との関係づくり」を手伝っておいた方がいいかもしれません。山羊座ちゃんの場合、事情を他の部員に話して、協力を求めてもいいのではないでしょうか。
相手がなぜつきまとうのかを考えつつ、どんな言葉で気持ちを伝えるのか、周りの人に協力を得ながら、対応するのをお勧めします。
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大倉智徳さん
おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務
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