環境が変わり、心の疲れを感じた経験のある人はいませんか? 臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「ネガティブな気持ちが消えない」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】ネガティブな気持ちが消えない

精神的に疲れています。部活動の顧問が変わるなど、環境の変化がありました。推していたアイドルグループが解散して、唯一の癒やしもなくなり、しんどい毎日です。

交友関係も、うまくいってないと感じています。相手は何も感じてないと思いますが、私は昔から考え込んでしまいがちなので心に余裕がありません。昨年から仲の良い子や、今年から同じクラスになり話す子もいますが、どちらの子にも気をつかうのに変わりはありません。

「自分は誰かに必要とされているのか」など、今まで以上にネガティブになってしまっている状況です。どうすればいいですか? (梨・高校2年女子)

今まで以上にネガティブになっている(写真はイメージ)

つらさの蓄積でネガティブに

環境の変化に合わせる負担や人間関係の悩みに加え、唯一の癒やしがなくなったのは、梨さんにとってつらいと思います。日常の中でつらさが蓄積して、今まで以上にネガティブになっているのでしょう。

梨さんの心境にはさまざまな要因が影響しており、精神的に疲れている状態からも、心の健康状態がかなり心配されます。しかし一方で、自分の気持ちを振り返って表現できており、回復に向かうための大切な一歩も踏み出せています。素晴らしいです。

感情を「外に出して」みよう

「自分の中にある感情」を無視せずに「外へ出す」のは、心の整理につながります。自分の心境を話せる人は身近にいますか? 会って話せる人であると、より望ましいです。そうした人がいない場合、電話やSNSでも相談ができるので、心境を口にする機会を作ってほしいです。

身近に相談する人がいなければ、SNSで相談してもOK(写真はイメージ)

「積み重ね」を思い出してみて

梨さんの心に影響している要因を、少し振り返ってみましょう。部活動の顧問の先生が変わり、梨さんの環境にはどんな変化が生じましたか?

活動に真摯(しんし)に取り組んでいる人ほど、活動内容や人間関係が変わると、心に影響を受ける場合があります。先生の方針によっては活動の在り方が変わり、今までの自分の取り組み方などに、疑問を感じるかもしれません。

しかし、自分が今まで取り組み、積み重ねてきたものはなくなりません。人との絆も含めて、過去の自分の取り組みを思い出すのも大切です。

「心の声」から距離を取ろう

交友関係では、何を考え込んでしまいますか?

以前から交友関係で考え込みやすいようですね。恐らくあなたの中にある「心の声」がささやいてきて、相手に気を遣うように仕向けたり、考え込ませたりしているのでしょう。真摯な人ほど、心の声は活発化しそうです。

心の声を自分から離して、客観的に眺められますか? 例えば、友達から「自分は必要とされているか?」と相談されたとき、あなたはどのように答えますか? そういった問いが、自分の中の「心の声」を自分から引き離す方法にもなります。

「心の声」と自分を切り離そう(写真はイメージ)

ポジティブになれる「流れ」を作ろう

心の疲れが蓄積すると「より悪いことを考えさせる心の声」も生まれます。負のスパイラルを断ち切るためにも、考える内容を「どんな自分でいられるとよいか」「何を大切にする自分でいるか」に、変えてみてほしいです。自分の中に自信の種を作り、ポジティブな気持ちが生まれる流れを作ってみましょう。

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

大倉さんに相談したいお悩みを募集します

編集部では高校生の読者のみなさんの「心の悩み」を募集しています。

どんなことで悩んで、何を知りたいか、今はどんな状況なのかをLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に送ってください。

メッセージの最初に「大倉さんへの相談」であることと、学年・性別・ペンネーム(希望者のみ。お名前・アカウント名は掲載しません)を明記してください。相談に回答できない場合もあります。記事で紹介させていただく場合は編集部から連絡します。

※記事にする際は、読者の方に読みやすく、分かりやすくするために、投稿の趣旨を変えない範囲で短くしたり、表現や表記を添削させていただく場合があります。