「あの人があなたのこと悪く言っていたよ」と報告してくる同級生や友達、いませんか? 臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「悪口を気にしないための対処法が知りたい」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】クラスメートが悪口を告げ口してくる

クラスには、少し個性の強い子が集まっています。ちょっとしたことですぐに悪口を言い合ったり、嫌い合ったりしています。悪口を告げ口することも少なくありません。

先日、友達から「クラスメートのAとBが『かなりうざいよね』って言ってたよ」と私への悪口を聞かされ、かなり傷ついてしまいました。特にAとはそれなりにうまくコミュニケーションをとっていると思っていたので、ショックです。伝えてきた友達も悪意があるのか、鈍感なのか、それとも共感してほしかったのか、わかりません。

ほかにも、大声で下ネタを話す人や、にらんでくる人、呼びかけても無視する人などがいて、居心地が悪いです。頑張って学校に行かなくてはと思うものの、体が動かなくてつらいです。自分を嫌う人なんてこちらから願い下げですが、それでも悪口を言われると傷つきます。

悪口を言った人のことを考えないようにしたり、気にしないようにしたりするにはどうしたらいいでしょうか。(あずう・中学2年女子)

悪口を言われて傷ついた(写真はイメージ)

「裏切られた」気持ちになるよね

うまくコミュニケーションを取ろうと努めていた相手からの悪口を聞かされ、裏切られた気持ちになったと思います。友達から聞かされたとなると、誰を信じていいのか分からなくなりそうですね。クラスには個性的な人が多いようですので、人間関係のイザコザが起きやすそうです。居心地悪く感じるのも想像できます。

クラスメートから裏切られた気持ちに(写真はイメージ)

悪口に取り合うだけ「時間のムダ」

まずお話を読んで私が共感したのは、「自分を嫌う人なんてこちらから願い下げ」という気持ちです。これはあずうさんにとって、心を守るための大事な心持ちであるように思います。

悪口を言われて傷つくのは当然ですね。でも、悪口が本当のあなたを表しているという訳ではありません。「悪口に取り合うだけ時間のムダ」と思って、自分が何に気持ちを向けて学校生活を送るかを考えるのが、何よりも大切だと思います。

不満のはけ口にされている

他人の悪口を言う人は多くの場合、自分自身の生活がうまくいっておらず、他の人を不満のはけ口にしています。あずうさんもその対象になっているように感じます。告げ口した人も、心情は似ているかもしれません。

場合によっては、心の奥底であずうさんを「うらやましい」と思っているケースもあるでしょう。そう考えると、悪口には取り合う価値がないと思いませんか?

他の人を「不満のはけ口」にしている

私生活を「忙しく」してみよう

とはいえ、すぐに切り替えられる人も少ないと思います。耳に入ったばかりの悪口を心から流し出すために、ひたすら好きなものを見る・聴く、好きな物を食べる・飲むなど、やりたいことをたくさん作って、私生活でも自分を忙しくしてみませんか?

私生活を忙しくしてみよう

あずうさんはどんな人でありたいと思っていますか? 「〇〇ができるようになる」など、成果が見える目標を持つのも大切ですが、いまのようなクラス環境ですから、邪魔をする要因が多いです。思ったように成果が上がらないかもしれません。

ですので、例えば「率直にものを言える人でありたい」とか「目の前のものに集中して、丁寧に取り組むよう心掛けたい」など、どのような人であるように心がけるかを決めておけるといいように思います。

大切な時間は自分のためだけに使おう

こういった目標を持つと、時にはうまくいかなくても、改めて自分の目指す姿に気持ちを向ければよいということになります。あずうさんが目指す姿に向けて真摯(しんし)に取り組めば、成果が出ることも十分考えられます。学校では、大切な時間を自分のためだけに使う気持ちを持ち続けましょう。

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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