原田詠(うた)さん(神奈川・横浜隼人高校3年)の彫刻作品「泡沫(うたかた)の如く」を紹介します。友達を「人魚姫」に見立てて制作したこの作品は、全国高校総合文化祭(かがわ総文祭2025)の美術・工芸部門に出展されました。作品へのこだわりや制作中のエピソードを聞きました。(文・写真 椎木里咲)

友達を「人魚姫」に見立てた

―作品のテーマを教えてください。

「はかなさ」です。海の上に座っている友達をテーマに、不安定さを表現しました。

もともと「人魚姫」を作ろうと思っていたのですが、人魚を作るのは難しく、人間に変えたんです。ですが、最後は泡になってしまう人魚姫のはかなさは残したいと考えていました。

原田さんが制作した「泡沫の如く」

モデルは、高校に入って初めてできた、仲良しの友達です。私は、美術部も入る気はなかったのに、その子に誘われて入部しました。友達はとてもかわいく、モデルになってもらいたかったんです。

あらゆる角度から写真を撮影

―こだわったり、工夫したりしたポイントはどこですか?

体の作りを、見て違和感なく作った部分です。友達にポーズを取ってもらって、いろいろな角度から写真を撮りました。

海の波も、複雑な波の模様を表現しようとこだわりました。実際に海に行って足を水につけて、波の広がりを観察しました。

何度も崩れて作り直した

―難しかった部分はどこですか?

何度も崩れたり、作ったものの違和感があったりして、出来上がったあとも何回も作り直しました。中に支柱を入れたものの、太ももから下が全部崩れてしまったことも……足首より下は5回くらい作り直しています。

制作者の原田詠さん

作品にかける時間を増やそう

―上達のコツを教えてください。

とにかく作品にかける時間を多くするのが大事だと思います。私はこの作品を作っていた去年の夏休み期間、7時から18時半までずっと作っていました。

本物をちゃんと見るのも大切です。想像で作らず、モデルを観察して指や腕の長さがどうか、体のバランスはどうかを知ると、よい作品が作れます。