永井蘭さん(兵庫・三木東高校3年)の彫刻「CHABUDAI(Premium Edition)」を紹介します。漆を何度も塗り重ね、周囲の景色を反射するほどつややかに仕上げたこの作品は、全国高校総合文化祭(かがわ総文祭2025)の美術・工芸部門に出展されました。作品へのこだわりや制作中のエピソードを聞きました。(文・写真 椎木里咲)

「新しいことをしたい!」ちゃぶ台制作へ

―ちゃぶ台を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

顧問の先生に、「ちゃぶ台作ってみない?」と提案されたんです。以前はアクリルで風景画を描いていたのですが、私も「新しいことをしてみよう!」と思って挑戦しました。タイトルを英語表記にしたのは、作品の横を通る人に「なんだろう?」と疑問や興味を持ってもらうためです。

制作者の永井さん

見えないところにも細工

―こだわったり、工夫したりしたポイントはどこですか?

一見すると見えないところにも、貝を切って飾る「螺鈿(らでん)細工」を施した点です。机上に加えて、実は台の下にも花柄の螺鈿細工があります。細かな部分まで楽しめる作品にしたく、見逃しそうなところまでこだわりました。

漆を何度も塗り重ね

―苦労したり、大変だったりしたポイントはどこですか?

漆を2~3回塗り重ねたところです。漆は塗って、磨いて……を繰り返してつやが出てきます。きれいなつやを出すには、かなりこすって磨かなければならず、体力勝負でした。

漆を何度も重ねてつややかに仕上げた

制作中にねんざしてピンチ

―作品制作中、印象に残っているエピソードはありますか?

作っている期間中、体育の授業で足をねんざしてしまいました。学校の美術室は4階にあるので登っていくのが大変で、木を削ったり磨いたりするのも足で踏ん張る必要があり不便でした。先生や美術部のメンバーが助けてくれたのが印象に残っています。

―上達のコツを教えてください。

毎日コツコツ制作することです。自分にできることを考えて、作品制作に取り組んでみてください。