SNSでの誹謗(ひぼう)中傷が大きな問題となっています。SNSは多くの人とつながることができる便利なツールです。正しく利用すれば温かい言葉を届けることができますが、その匿名性から軽い気持ちで発信した言葉で人を傷つけてしまう可能性もあります。SNSでの誹謗中傷について、高校生記者に意見を聞きました。

芸能人ならたたかれて当然?同じ人間だということを忘れないで

芸能人や著名人をはじめとした表舞台に立つ人々が、誹謗中傷の被害に遭ってしまうことが多いです。恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた木村花さんが、SNS上で誹謗中傷を受ける中で亡くなりました。応援している芸能人が誹謗中傷の被害に遭ったという高校生記者から、意見が寄せられました。

「チクチク言葉」よりも「フワフワ言葉」を

私は世界中にいるテラスハウスファンの一人です。現在、ファンとしては悲しい形で話題になってとても心苦しいです。この件は、国内からも、海外からも大きな反響を呼んでいます。

誹謗中傷については、この件で話題になる前から議論をされていましたが、日常でテレビやネットニュースのトップに出てくる話題ではありませんでした。ですが、誹謗中傷を受けている方々にとっては、四六時中頭から離れないことだったと思います。

私は以前、SNSに動画を上げてファンと「いいね」の数がいきなり増えた経験があります。そのとき、心ないコメントとうれしいコメント、「チクチク言葉」と「フワフワ言葉」との2つに分かれました。「チクチク言葉」と「フワフワ言葉」とは、小学生の頃の道徳の授業で習った言葉です。意味はなんとなく想像できると思います。

動画へのコメントは「フワフワ言葉」の方が多かったのですが、それに比べて「チクチク言葉」の方が心に突き刺さって、そのコメントを一日中考えてしまい、家族や友達との時間を心から楽しむことができませんでした。みなさんにも、「小学校で習ったこと」を考え直してほしいと思います。(なっつん=3年)

何気なく発信する一言が命を奪ってしまう

最近私の好きな声優さんがTwitterなどのSNSで誹謗中傷を受けているのを目にします。その方はまだ成人していません。それでも、心ない言葉を容赦なく浴びせる人がたくさんいます。

「表舞台で活躍している人ならたたいても良い」とか、「芸能人は誹謗中傷を覚悟でやるべきだ」という声も聞きますが、彼らも私たちと同じ人間であり、心ない言葉には傷ついてしまうということを理解してほしいです。

今の私たちに必要なのは、自分たちが何気なく発信する一言がひとつの尊い命を奪ってしまうこと、人生を狂わせてしまうということを深く理解し、責任を持った発言をすることだと思います。また、誹謗中傷を厳しく罰する法律の整備も強く求めます。(りっつ=2年)

信頼できる人に相談して(写真はイメージ)

生身の人間がいるということを忘れないでほしい

あるとき、私の好きな男性アーティストの熱愛報道が出ました。相手の女性も芸能活動をしていて、その人が男性との関係をほのめかすような行動をしたと、女性のSNSの投稿には多くの誹謗中傷が書き込まれました。女性は死にたいと考えるほど追い詰められたそうです。本人にも悪い点はあったかもしれないけれど、それがその人を傷つけて良い理由にはならないと思います。

さらに怖いのはSNS上での誹謗中傷はほとんど匿名であるということです。匿名の多数が特定の一人を攻撃する、お互いさまでも何でもありません。書き込む人は、機械に文字を打ち込んでいるだけかもしれないけれど、その向こうには必ず生身の人間がいるということを忘れないでいてほしいです。(りぃ=2年)

誰かの命に関わること 自分の言葉を見直して

私はよくTwitterを使います。そこでよく炎上した人のツイートが流れてくるのですが、そのコメントに炎上した人の住所、家族構成、本名、顔写真を載せている方が多いと感じています。そのコメントをしている人たちが「相手(炎上した人)が悪いことを行っているからそれを大丈夫だ。むしろ正義のヒーローである」と言っているのをしばしば見ます。私は個人情報を流すのも誹謗中傷の一部ではないかと思います。

そしてデマ情報を流すのも、誹謗中傷ではないかと思います。特に災害が起きた直後にそのような情報を流すと、被災者の命や生活に関わる大きな影響を与えると考えるからです。

誹謗中傷は線引きがあいまいです。ですが、一つわかることは、誹謗中傷とは全てに誰かの命に関わってくるということです。例えば「死ね」って言われたら死ぬ人もいるだろうし、「あそこの避難場所にはライオンがいる」って言われたら食料配布したとしてもその情報を信じて行くことができない、そして餓死してしまうかもしれない。そういったことが考えられます。今一度、自分の言葉を見直してみませんか?(あやぴ=2年)