皆さんは、ほめられた時になんと言いますか? 多くの人は、感謝はしつつ「そんなことないよ」などと謙遜するのではないでしょうか。私も「常に謙虚」であることが正しいと思っていましたが、海外滞在中の経験で考えが変わりました。(高校生記者・犬田=3年)

ほめられると否定する癖がついていて

典型的な日本人の特徴は「謙虚さ」だと思います。英語などの外国語と比べ、日本語は「とんでもないです」「恐縮です」など、へりくだる言葉が多いです。謙譲語が存在する、数少ない言語のうちの一つだと思います。

「謙遜するのが正しい」と感じるように(写真はイメージ)

私は、へりくだることが当たり前の環境で暮らしているうちに、なんとなく謙遜するのが正しく感じるようになりました。誰かにほめられると、なんとなく「そんなことないよ」と否定する癖がついていました。

「謙遜しない」カナダ人にびっくり

ですが、中学校生活のうち2年半をカナダで過ごし、考えが変わっていったんです。

カナダには、日本のように「謙遜するのが正しい」という風潮がありません。友達に自分の趣味の絵をほめてもらい、いつものように「ありがとう、でもそんなに上手じゃないよ」と謙遜したところ、友達は少し怒ったような表情を浮かべていました。「もっと自分に自信を持って。本心からほめているから受け入れてほしい」と言われ、ハッとしたんです。

謙遜してほめ言葉を否定するのは、相手の本心を真剣に受け取っていないとも考えられると気づかされました。

絵は今でも趣味。愛用している画材

過度な謙遜は自分を低く見積もることにも

以来、私はほめ言葉に対して素直にお礼を言うようになりました。自分がほめ言葉に値すると感じるかどうかはさておき、相手が「すてきだ」と感じたところを伝えてくれた、という事実を受け止め、感謝を伝える方が大事だと感じたからです。

カナダで生活しているときに撮影したオーロラ

もちろん、過度な自己愛と健全な自信との線引きも大事です。しかし、謙遜を美化する風潮は自分の能力を低く見積もるきっかけとなってしまう上、せっかくのほめ言葉を素直に受け取れなくなることもあります。それは自分にも、ほめてくれた相手にも、少しもったいないと思います。

ほめ言葉には「ありがとう」と返そう

日々の中で、つい謙遜してしまうことがあるかもしれません。でも、ほめてくれた相手はきっと本心で伝えてくれているはずです。たまには、その言葉を丸々受け入れて、「ありがとう!」と伝えてみるといいかもしれません。

犬田 東京都在住。美術部、文化祭実行委員会所属。親が転勤族で英語が得意。印象派が好きで、美術館巡りとMV鑑賞が趣味。ILLITのモカ推し。