起業プランを高校生ビジネスプラン・グランプリで発表した薮日向君、隅野さん、飯坂さん。手に付けているのが蚊よけブレスレット「モスキッズ」の試作品(1月8日、東京大学)

蚊が媒介するデング熱の被害からフィリピンの人たちを救いたい。そんな思いを込めて、大阪・三国丘高校の2年生6人が、現地のフィールドワークや企業などへの聞き取りを重ね、蚊よけ商品を開発、現地で製造・販売する起業計画をまとめた。

フィリピンで20万人が感染

 6人は昨年夏にフィリピンを訪問。致死率の高いデング熱の患者が年間20万人に上ること、約4割が5〜14歳の子どもであること、被害を防ぐための蚊よけスプレーに含まれる化学物質で副作用が生じていることなどを知った。帰国後、「蚊の被害を解決しよう」と話し合ううちに、「ファッションと結び付ける」というアイデアが出る。蚊よけ効果のある天然素材を含むブレスレットを思いついた。

蚊よけブレスレットなど開発

 試作品を作り、6人が校内の蚊の密集地で機能を検証したところ、効果は明らかだった。例えば鎌田壮譜君は、蚊よけがないと15分で80回刺されたが、ブレスレットを付けると27回にとどまった。さらに、蚊よけ効果があり、肌に優しく香りもよい洗濯洗剤を開発した。

 商品製作に当たっては、10社以上の企業を訪問したり、メールで質問したりして協力を得た。「肌に優しいと思っていた素材が、そうではないと指摘されて作り直しました。ブレスレットも素材を染み込ませやすい方法を教えていただき、改良しました」(飯坂莉名さん)

コンテストでグランプリ

 6人は「第4回高校生ビジネスプラン・グランプリ」(日本政策金融公庫主催)にエントリー。現地で製造・販売しやすい商品にすることで就職難の改善にも役立つこと、貧困層の子どもにはチャリティー事業としてブレスレットを届けることなどを盛り込んだ起業プランを発表。324校2662件の応募の中からグランプリ(最優秀賞)に選ばれた。

 隅野果歩さんは研究を振り返り、「企業の方から話を聞くことで企画を見直すことも多かった。さまざまな物の見方が必要と学びました」と話した。

(西健太郎)

2014年にSGH指定。①国際人の理念を学ぶ②先進国の知見を学ぶ③発展途上国の現状を学ぶ④BOPビジネスを提言する―の4本柱で課題研究を実施。

(高校生新聞 2017年3月号から)