みなさん、「ヤバい」という言葉を頻繁に使ってはいませんか? でも実は「ヤバい」って、「ヤバい」言葉なんです。私は探究活動で「ヤバい」をテーマに研究しています。(高校生記者・きこむ=2年)
「ヤバい」を使いすぎてマズい
私は日頃、会話の中で「ヤバい」という言葉を頻繁に使っています。周りも同じような状況で、「すべての言葉が『ヤバい』に包括されてしまってはマズい……」と考え、探究活動のテーマにしました。1年生の3学期から今まで、週1回の授業時間で探究しています。
多様な感情を表せる言葉になった
会話の中で使われる「ヤバい」には、さまざまな意味があります。例えば、学校の友達が「この前先生に怒られちゃってさ〜……」と言って「えぇ、それヤバいね」と返す場合、この「ヤバい」は「同情」や「相手を憐れむ」気持ちを表します。
一方で、スマホゲームをしている友達が「この前ガチャで神引きしちゃった!」と言って、「え! ヤバいね!」と返す場合は、「尊敬」や「すごい」という意味になります。
「ヤバい」を辞書で確認すると、「危険・不都合な様子」「非常に興味をひく様子」という2つの意味がありました。しかし今では「うれしい」「すごい」「おいしい」「かわいい」など、多くの形容を代替する言葉として使われています。
150人にアンケート
私は探究活動の中で、「やばい」の使い方についてまとめた論文や、NHKの特集などを調べました。加えて同じ学校に通う1~3年の生徒150人にアンケートを行いました。「『やばい』という言葉を、『すごい』『焦り』『危機』『大変』『驚き』の中で、一番使う場面は」と聞いたところ、「すごい」と表したい場面で使う人や、「エグい」と同じく「はなはだしい」という意味で捉える人が多いとがわかりました。プラスの意味、マイナスの意味のどちらでも使われていることに疑問を覚えました。
語彙力が低下してる?
「やばい」はプラスの意味、マイナスの意味のどちらでも使われています。私は語彙(ごい)力の低下に危機感を覚えました。さまざまな形容詞を一語で置き換えられてしまうため、豊かな日本語が失われていくと感じたのです。
私も使わないように気をつけてはいますが、やはり自然に「ヤバい」と出てきます……。ですが、探究がきっかけで、できるだけ程度を表すような言葉を使うようにしています。「ヤバい」ではなく「とんでもない」にしようとする意識を持っています。
言葉を見直すきっかけに
もちろん、意味の揺れや変化も日本語の面白さの一つです。しかし、その変化によって他の言葉が使われなくなるのは惜しいです。みなさんも「ヤバい」と口にしたときに、ほかの言葉に言い換えられないかを考えてみてください。きっとそれだけで、日本語が少し美しく見えてくるはずです。
- きこむ 大分県在住。吹奏楽部。日本語とクイズが特に好き。QuizKnockが大好きで大尊敬。タルト、カフェオレ、オムライスを与えると喜ぶ。


















