全国の中高生が取り組んだ探究活動を発表し競う「中高生探究コンテスト2025」(CREATION DRIVE主催)の最終審査会が日本科学未来館(東京)で2月15日に行われ、ファイナリスト10組が登壇。(文・写真 椎木里咲)
全国から4275件の応募
同コンテストは出場者の興味・関心を追究する「好き部門」、社会課題の解決を目指す「困りごと部門」の2部門に分かれて開催された。4回目の開催となる今年は2部門合わせて4275件の応募があり、各部門5組ずつ、計10組のファイナリストが選ばれた。
結果は以下の通り。

好き部門
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■最優秀賞
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佐々木彩乃(東京・香蘭女学校高等科1年)「カイコにおける合成色素輸送の解明」
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カイコの色素輸送経路を研究。カイコに食紅などの色素を混ぜたえさを与え、色素により繭の染まり具合の違いなどを調べた。将来は染色不要の絹糸や機能性繊維の開発を目指す。
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■優秀賞
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諸橋いろは・奥村美友(東京・香蘭女学校高等科1年)「明晰夢の世界へ」
夢を見ながら「自分は今夢を見ている」と自覚する「明晰夢」を、意識的にみられるのか研究した。先行研究をもとに1日3回頬をつねる「リアリティチェック」や、夢日記の記録、二度寝を行った結果、明晰夢を見ることに成功した。 -
渡辺春音(神奈川・アレセイア湘南高校2年)「時をかける笑い 現代人にお笑いで古典の『をかし』を伝えたい」
古典文学に興味がない同世代が多いという現状を受け、「お笑い」と掛け合わせて古典の面白さを伝える研究を行った。「掛詞」などを使ってネタを作成し、「R-1ぐらんぷり」などのお笑いコンテストに参加した。 -
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■ファイナリスト
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松原六花・岡本唯菜・植村美羽・髙橋紫音(北海道・静内農業高校2年)「ハチミツの抗菌作用を探れ!~ハチミツの魅力を伝え隊~」
地域の養蜂場と連携し、町内産ハチミツの魅力を探究。ハチミツの抗菌作用がについて研究を進めたり、オリジナル乳飲料「Hachi meets Milk」を製造したりして、ハチミツの可能性を追求した。 -
多田光里(神奈川・光陵高校2年)「『間抜けなニムロド』は親子の歌であるという仮説の検証」
ロックバンド「amazarashi」の楽曲「間抜けなニムロド」が、「親子の関係」をテーマにしているのでないか、という仮説を検証した。他のファンによる解釈を研究したり、同バンドの楽曲との比較、考察を行い、解釈を導き出した。
「困りごと」部門
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■最優秀賞
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神龍之介(埼玉・大宮国際中等教育学校6年)「整列乗車にご協力ください!~登下校で利用するバスの混雑と大宮駅西口バス停の改革~」
大宮国際中等教育学校へ向かう大宮駅のバス停が分かりにくいことに問題意識を持ち、バス停の仕組み改善を目指した。バス会社の協力を得て整列乗車を促す「ロードペイント」を実施し、誰もが利用しやすいバス停を実現させた。 -
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■優秀賞
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内倉凛華(茨城・江戸川学園取手高校2年)「商業施設で性犯罪を防ぐために挑戦する~松戸市商業施設における安全な空間づくり~」
松戸市の商業施設における性犯罪被害を防ぐための防犯環境設計の改善に取り組む。4つの商業施設でフィールドワークを行い、防犯カメラなどを調査。施設と協力し、防犯ポスターの設置やアンケートを実施した。 -
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■ファイナリスト
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石田海翔(広島・広島叡智学園高校1年)「人工漁礁を利用した環境保護-楽しく釣りができる環境を次世代へ-」
魚の隠れ家、住処になる「人工漁礁」を使った海洋保全に挑んだ。「次世代へ釣りを楽しめる環境を残す」ことを目標に、耐久性や魚の集まりやすさを考慮した人工漁礁を製作。設置後2カ月観察した結果、魚種・個体数の拡大が確認された。 -
伊賀優貴・田中桜助(山口・美祢市立伊佐中学校2年)「美祢市にサッカーができる場所を作るプロジェクト」
「サッカーを楽しめる場所が少ない」ことに問題意識を感じ、山口県美祢市で「ストリートサッカー」のイベントを企画・開催。スポンサーを募ってコートを自作し、幼稚園や小学校で体験イベントを開催した。 -
増田結佳(茨城・並木中等教育学校5年)「ChatGPTで英語脳をつくる」
「英語のスピーキング力を伸ばしたい」という思いから、ChatGPTの音声会話機能を利用して、英語のスピーキング力を伸ばす方法を探究。ChatGPTとの英会話マニュアルを作成し、実験を実施した。