イライラした気持ちを抑えられない。過度に落ち込んでしまう……。気持ちをコントロールできないとつらいですよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「どうしたら情緒不安定にならずにすむのか」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】どうしたら情緒不安定にならずにすむ?

最近、気持ちの上がり下がりがとても激しくなっています。特に、学校で物事がうまく進まなかったり、YouTubeでかわいい人を見かけ自分と比べてしまったりして落ち込みます。LINEや対面でやりとりしている際、相手の言動や連絡頻度に敏感になり、「嫌われているのかな」「自分は必要とされていないのかな」と過度な怒りや落ち込みを感じてしまいます。

情緒不安定になるとLINEで送信取り消しを連発

落ち込んだり情緒不安定になったりすると、LINEでは送信取り消しをたくさんしてしまい、怒りやイライラを衝動的に周りの人にぶつけてしまいます。「死にたい」と考え、家族といても口数が減り、素直に笑えなくなることがあります。

感情のコントロールがうまくいかず、怒りや落ち込みもなかなか自分の力で治せません。自分が苦しいだけでなく、周りの人にも迷惑をかけてしまいます。どうしたら情緒不安定にならずにすむでしょうか?(ふわめ・高校3年女子)

まずは「信頼できる大人」に相談しよう

感情のコントロールが難しいと、とても苦しいですよね。生活全体に支障が出ますし、怒りや落ち込みで、人間関係が悪くなることも想像できます。こういった状況はどうするといいでしょう?

周囲の人の助けをかりて(写真はイメージ)

まずお伝えしたいことは、「死にたい」と考えたときは、信頼できる大人に話すことです。一人では何ともできないぐらいつらいからこそ、死にたいと感じるのですから、まずは人の助けをかりて、つらい心境から抜け出してください。

生活面の変化は? 心の負担の原因を探ろう

ふわめさんは感情のコントロールが難しい状況にありますが、そうなる原因は1つではないでしょう。ふわめさんには、いまの状況をいろいろな視点で振り返ってもらい、まずは自分の全体像が分かるといいのではないかと思います。

「『最近』、気持ちの上がり下がりが…」とのことですが、何か生活面で変化はありませんでしたか? 体調や勉強、将来のこと、家族のことで心配事を抱えるようになったなどです。落ち込んだりした出来事と直接の関係がなくても、心に負担となる原因が生活の中にあると、感情のコントロールはより悪くなります。

落ち込む悪循環は「行動のコントロール」で断ち切る

私が感じたのは、ふわめさんは落ち込んだ後の気持ちの切り替えが、不得意なのかなということです。物事がうまく進まないと感じると、落ち込みますよね。そして、その気持ちが続くことで不本意な行動を取ってしまい、再び落ち込みそうです。こうなると悪循環ですよね。

LINEで落ち込んだらスマホから離れてみよう

大切なことは、悪循環を断ち切るために「いかにその時の自分の行動をコントロールするか」ではないかと思います。例えば、LINEで落ち込むことがあったら、いったんスマホを見えないようにする。感情を揺さぶる原因からいったん離れて、切り替えやすい行動をしてみませんか?

「自分を責めない」ことを意識しよう

そして「心の声」も意識して変えましょう。ふわめさんの「心の声」は、悪い出来事は「自分に原因がある」などが多いのではないですか? 「自分と原因を結びつけ過ぎない」「自分を責めない」という「心の声」もぜひ持ってください。

「体質」も原因になりうる

最後に、「体質」も原因になるという視点もあります。体調不良はもちろん、ホルモンバランスも影響します。生まれつき感情が敏感であったり、そのコントロールが難しかったりする体質の人もいます。婦人科の専門医に相談してみてもいいかもしれませんね。

自分にはどんな原因の影響が大きいのかを振り返り、自分のペースで一つずつ負担を軽くしていきましょう。苦しいことは、誰かと一緒に取り組むことを強くおすすめします。 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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