高校生新聞読者の中高生236人にアンケートしたところ、73人が「冷え症」に悩んでいると回答し、「手が冷えて、勉強中に字が書けない」という悩みも寄せられた。手が冷える原因や手軽な温め方、冷えないようにする対策を「冷え症外来」を営む横浜血管クリニックの林忍先生に聞いた。(木和田志乃)

手を「グーパー」して温めよう

―手が冷えるのは何が原因ですか?

手は心臓から遠いため、血流が悪くなって冷えてしまいます。加えて、寒さにさらされると血管がキュッと締まってしまい、さらに血流が悪くなります。こうして、どんどん手の冷えが悪化して、かじかんでしまい、字もうまく書けなくなります。

道具無しでも手を温める方法

―テスト中などはカイロやブランケットの使用が禁止されているケースもあります。道具がなくても手を温める方法や、机の上でできるマッサージなどはありますか?

手のひらを、親指を中に入れて握り、大きく開いて「グーパー」と繰り返すのが一つの方法です。他にも、手のひらの真ん中や親指の付け根、小指の付け根をもみほぐしたり、指を1本1本順番に上下にさすってみたりするのも有効です。

肩までお風呂に入り血流を良くしよう

―手の冷えを改善するために、普段からできることはありますか?

手先が冷えるのは「末端に血液が行き渡らないこと」が原因ですから、まずは肩まで湯船に漬かる「全身浴」で血行をよくするのが大切です。手が冷え切ってしまったときに、洗面器などに張った湯に手だけを浸して温めても、全身の血流をよくするわけではありません。「冷え症の改善」という点ではあまり意味がありません。手だけをお湯に漬ける時間があるなら、全身浴をする方がよいでしょう。

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手を冷気にさらして熱を奪われないようにするのも大切です。少しでも冷気にさらさないため、手袋は家の中ではめてから出掛けましょう。

林忍(はやし・しのぶ)

医療法人慶祐会「横浜血管クリニック」理事長・院長。医学博士。慶應義塾大学外科学教室講師(非常勤)。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院等で血管外科専門医として20年間勤務し、1万人以上を診療。あらゆる血管に関する診療を行う。