高校生新聞読者の中高生236人にアンケートしたところ、73人が「冷え症」に悩んでいると回答した。つらい冷え症を改善するには、お風呂で体の芯から温めることが大切だ。温度や時間など、最適な入浴方法を、冷え症外来を営む横浜血管クリニックの林忍先生に聞いた。(木和田志乃)
「39度の湯に30分」ぬるめの入浴が効果的
―お風呂に入る際のポイントを教えてください。
冷え症の改善にはシャワーを浴びるだけで済ませず、湯船に全身漬かって体を温めるのが有効です。
人間の体は、自律神経によって呼吸や体温、血圧など生命活動がコントロールされています。自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類の神経によって構成されています。交感神経は体を緊張させる方向に、副交感神経はリラックスさせる方向に働いています。
熱い湯に入ると、交感神経が働いて血管が収縮してしまうので、血行はよくなりません。一方、ぬるめの湯に入ると副交感神経が働き、リラックスして血管が広がり、血行がよくなります。
私は患者さんに「39度の湯に30分入る」ようすすめています。ぬるめの湯にじっくり漬かって、汗をかくぐらいまで長めに入るのがポイントです。
―冷え症に悩む高校生から、「身体が冷えていると通常の温度の湯船でも熱すぎる」という声もありました。
熱すぎると感じるならリラックスできず、血行を良くできません。その場合は湯温をもう少し下げた方がよいでしょう。
炭酸ガス入りの入浴剤を使おう
―入浴前後にするといいことはありますか?
脱衣所を温めておきましょう。脱衣所が寒いと、せっかく温めた体が冷えてしまいます。
入浴前に筋トレをしたり、入浴後にストレッチやマッサージをしたりする人が多いと思いますが、入浴に合わせて行うと冷え症改善の効果が増すことは特にありません。毎日行うことが大切で、入浴に関わらず行ってください。
―冷え症に効果が高い入浴剤はどんなものですか?
泡がブクブクと出る、炭酸ガス(二酸化炭素)が入っている入浴剤です。炭酸ガスは血行を良くし、体を温める効果が高いと言われています。パッケージに「炭酸」「泡」「バブル」などの表記があるものを使ってください。
林忍(はやし・しのぶ)
医療法人慶祐会「横浜血管クリニック」理事長・院長。医学博士。慶應義塾大学外科学教室講師(非常勤)。慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院等で血管外科専門医として20年間勤務し、1万人以上を診療。あらゆる血管に関する診療を行う。