なかなか治らないニキビは、高校生にとって切実な悩みだ。実は、日々の何気ない行動が悪化の原因かもしれない。皮膚科医の野村有子先生に、ニキビを悪化させる生活習慣や、早く治す方法を聞いた。(野嶋敦子)

ニキビが気になってマスクが外せない…
高校生新聞が中高生を対象に、「肌の悩み」について聞いたところ、多くが「ニキビ」について悩みを抱えていた。
「ニキビが全く治りません」(高1女子)、「ニキビが気になってマスクを外しにくい」(高2女子)といった声があり、なかなか治らないニキビに頭を悩ませる声も多い。

【悪化の原因1】手で触れている
なぜニキビが治らないのか。野村先生によると「日々の何気ない行動が、ニキビを悪化させる場合がある」という。
「ニキビを手でさわると、炎症が広がりやすくなり、新たなニキビの原因になりかねません。授業中の頰づえも注意が必要です。頰にかかる摩擦や圧力が刺激となり、症状が悪化するリスクがあります」

【悪化の原因2】つぶしてうみを出す
膿(うみ)があるとついついつぶしてしまいそうになるが、NG行為だ。「むりやり膿を押し出すと、へこんだり黒ずんだ痕になったりする可能性があります。自分でやると皮脂をうまく出しきれず、炎症がさらに悪化します」
どうしても膿を出したい場合は、皮膚科で潰すための特別な道具を使って膿を出す「面皰圧出術」を受けるほうがよい。
【悪化の原因3】肌を刺激している
ニキビができた肌は敏感な状態だ。肌に直接触れるマスクは素材にも気を付けたい。刺激を抑えるには、シルクやコットン素材がおすすめだという。短時間の使用やこまめな交換を心掛けると肌トラブルの予防になる。
ワックスやヘアミルクなどヘアケア製品を髪に付ける際も気をつけたい。「成分が顔に触れると、肌荒れを引き起こす可能性があるんです。顔にかからないよう前髪を上げたり、毛先のみに製品を使ったりするなど工夫すると安心です」

【悪化の原因4】鏡を見すぎている
思春期の肌トラブルは、心にも影響を与えやすい。「ニキビができて気になって鏡を見る回数が増えるとかえって落ち込んだり、無意識のうちにニキビを触って悪化させる場合があるんです」
肌の気にしすぎはストレスの原因にもなるため、鏡と適度な距離を保つ意識が大切だ。
【早く治す方法1】洗顔をきめ細かい泡でやさしく
早く治すためには、まずは洗顔を見直そう。「ニキビは不潔にしてるからできるわけではありませんが、1日2回の洗顔が対策になると言われています」
朝と夜、水だけでなく洗顔料を使って行うのが基本だ。大切なのは泡の量より質。きめ細かい泡をしっかり立てて、顔を包み込むようにやさしく洗う。
ニキビに悩む人には、ニキビができにくい「ノンコメドジェニック処方の洗顔料」がおすすめだ。スクラブ入りの洗顔料は刺激が強いため、ニキビがある時は使わない方が安心だ。

「洗顔料の適量は指2本分、約3センチが目安です。汗や皮脂が気になる時には、もう一度洗っても問題ありませんが、洗いすぎると肌のバリアー機能が弱まりやすくなりますので注意してください」
すすぎ残しがあると肌トラブルになりやすいため、洗顔後は丁寧に洗い流すよう意識したい。特に小鼻や髪の生え際はすすぎ残しが多いので丁寧に。
【早く治す方法2】乾燥に注意、適度に保湿
適切な保湿も心がけよう。洗顔後の肌は乾燥が進みやすい。すぐに化粧水や乳液などで保湿して、乾燥から皮膚を守る。洗顔と同様、ノンコメドジェニック処方の製品がおすすめだ。
ただし、保湿はしすぎると皮脂の多い部位ではニキビが増える場合があるので注意しよう。
【受診のタイミングは?】3個以上できたら病院へ
「そのうちよくなる」「ニキビくらいで病院に行くのは気が引ける」と思わないでほしい。何より早めの皮膚科受診が重要だ。
「ニキビが1個でも気になったら受診を意識し、3個以上出たら来院するようにしてください。最近は過酸化ベンゾイル、アダパレンなど効果の高い治療薬があり、早期のニキビはかなりきれいに治せます。放置して生じた痕を消したい場合は、レーザーなど保険が効かない自費診療になるケースもあり、かえって費用と時間がかかります」
症状が軽いうちに対処できれば、肌への負担だけでなく、時間や費用の負担も抑えられる。
大切なのは、早めの受診と日々のケアの積み重ねだ。「肌の小さな変化にも目を向ける姿勢が、健やかな肌への第一歩になります」
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