読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に「眼鏡をやめてコンタクトレンズにしたい」という声が届いた。初めてのコンタクトレンズ選びは何に気をつければいいのか、眼科医で窪田製薬ホールディングスの最高責任者として医療機器開発に携わる窪田良先生に聞いた。(木和田志乃)
コンタクトの方が見えやすい
―高校生のうちに眼鏡からコンタクトに変える人も多くいるようです。コンタクトレンズと眼鏡では、見え方が違うのですか?
眼鏡は目から離れた位置でピント調節をするので、像の大きさが違って見えます。近視の眼鏡はものが小さく、遠視の眼鏡では大きく見えますが、度数が強くなるとその傾向が強くなります。左右で度数が違う場合、眼鏡をかけると左右で大きさの違う像が網膜に写って気分が悪くなったり疲れやすくなったりします。

一方、コンタクトレンズは目にピタッと付いているので、像の大きさのズレが少ないんです。眼鏡よりもきれいに見えます。目の中にものを入れるという時点で目を痛める危険はありますが、見え方が眼鏡よりもいいので、使用するメリットは大きいです。使用するかどうかは眼科医などの専門家や保護者とよく相談して決めてください。
―高校生がコンタクトレンズを使っても問題ないですか?
コンタクトレンズを使うには手入れが必要ですし、目が痛い時には使わないという判断ができなければいけません。そういった意味で何歳から使えるかというと個人差がありますが、高校生が使うことには問題がないですし、小学生でも使える子はいます。
ソフトレンズは装着しやすい
―レンズにはどんなものがありますか?
ソフトレンズとハードレンズがあります。ソフトレンズは黒目より大きく柔らかい素材でできていて、装着しやすくズレにくいレンズです。レンズが水分を含む割合を示す「含水率」が高いという特徴があります。
一方、ハードレンズは黒目より小さく固いプラスチックでできています。酸素を通しやすく、強い乱視も矯正できる矯正効果が高いレンズです。固いので慣れるのに時間がかかります。
―初めてコンタクトレンズを買うときにはどうしたらいいですか?
まずはたくさんのコンタクトレンズを取り扱っている眼科に行って、医師から合うレンズを探してもらうのがいいでしょう。複数の選択肢を提案されることもありますし、目の形や視力により「これしかない」と一つだけ提案されることもあります。選べる場合は、装着しやすいソフトレンズを選ぶ方が多いです。
含水率と酸素透過率に注目して

―選ぶときに注意することは何ですか?
本来、目には何も入っていないのが望ましく、コンタクトレンズを使う時にはその状態に近づけることが大切です。そのため含水率や、酸素の通しやすさを表す酸素透過率は高ければ高いほどいいでしょう。
目が乾き気味の人はレンズが目の水分を吸って乾きがひどくなりがちですので、含水率の低いタイプをすすめられることもありますが、一般的には含水率、酸素透過率の高いものが目にはよいですね。

―使用時の注意点を教えてください。
レンズの特性を踏まえて使い捨てタイプのものを使うのか、きちんと手入れしながら長期使用タイプのものを使うのか選んでください。長期使用タイプのものは使ううちにタンパク質など体内の成分が付着して、酸素を通さなくなることがあります。含水率も使う内にどんどん下がっていきます。ひどい場合には目の健康を損なうこともありますので要注意です。レンズを専用の洗浄液でしっかりとこすり洗いし、手入れしましょう。
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くぼた・りょう 慶應義塾大学医学部卒。眼科医、医学博士。窪田製薬ホ―ルディングス株式会社代表取締役会長、 社長兼最高経営責任者(CEO)。「世界から失明を撲滅する」ことを目標にアメリカで起業。著書に『近視は病気です』(東洋経済新報社)。