今回で14回目を迎えたお弁当甲子園(主催:鎌倉女子大学)。今年は全国365の高校から12,166作品の応募があり、過去最多の応募数となった。最終審査会の結果、上位に入賞した作品を紹介する。

最優秀賞 

酒井 しい さん(愛知県立岩津高等学校3年)
「 ムスリムの友人へ JAPANのハラール弁当 」

 

高3の春、私はマレーシアのハラール認証スイーツ製造企業にインターンに行きました。約2ヶ月の長期滞在、一人での海外生活、不安で緊張していた私に、沢山話しかけ、妹のように可愛がってくれたスラヤに、感謝の気持ちと日本の食文化を伝えたくて作りました。富士山おにぎりに日の出に見立てた梅干し。スラヤのリクエストの唐揚げ、甘い卵焼き、漬物。三色団子やもみじで日本の四季も楽しんでもらえるように。ムスリムは豚肉とお酒がNGなので味醂は使わず、醤油と味噌はアルコール不使用のハラール認証を使用。汁物をビニールに入れて持ち帰るマレーシアの文化が衝撃的だったので、ビニールお味噌汁を添えました。Terima kasih!

 

受賞者コメント
この度は貴重な賞をいただきありがとうございます。
マレーシアのインターン先で沢山お世話になったムスリムの友人・スラヤが、日本の文化が大好きと言ってくれていたので、小さな箱に想いを全て詰め込める日本のお弁当文化の面白さを伝えようと、お礼の気持ちを込めたお弁当を作りました。
マレーシアでは、宗教上ムスリムの人はお酒や豚肉が食べられません。お弁当のおかずを考えていく中で、よく見てみると調味料など様々な所にお酒が使われており、日本で当たり前に使っている味醂はもちろん醤油や味噌にも入っていました。そのためハラール認証をとっている醤油や味噌を買ったり、煮物は味醂を使わずに作ったりして対応しました。宗教の違いはありますが、ムスリムの人にも工夫することで日本のいろいろなものを食べてもらうことができると知りました。
このお弁当を作るにあたり、スラヤに食べてみたい日本のおかずをリサーチしていました。良い報告が出来たらいいなとは思っていましたが、まさかの最優秀賞!スラヤやマレーシアのインターン先でお世話になった方々に、胸を張って報告できることがとても嬉しいです。

 

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特別審査委員賞   

瀬戸 のどか さん(東洋英和女学院高等部2年)
「 戦後80年。幼なじみを失い元気のない93歳のじぃじへ
  じぃじの大好物笑顔いっぱい長生き弁当 」

 

私の大好きな93歳のじぃじは、優しく面白くて今だに仕事もゴルフもやり囲碁料理と多趣味です。桃の節句にはじぃじ手作りのチラシ寿司でお祝いをしてくれる自慢の祖父です。また今年は戦後80年。じぃじが中学1年の時に東京大空襲にあい、焼夷弾がザァーと雨の様にどんどん近づいてきて、それはそれは本当に恐ろしかった等の貴重な話も沢山してくれます。しかし、苦楽を共にした最後の幼なじみを失い、じぃじはとても悲しみが深く食欲もなく「話す友もいなくて寂しい・・寂しい・・」とこぼすようになりました。そこでばぁばにリサーチしじぃじの大好物をつめたくさんの笑顔になるお弁当で元気になってもらおうと思いました。

 

受賞者コメント
この度は選出していただき誠に有難うございます。
旧友との別れに意気消沈の祖父にただただ喜んでほしい、願いを込めたお弁当作りは尊い経験でした。祖父の大好物や思い出の料理を祖母にリサーチし、戦中の10代から93歳の現在までの祖父の人生に寄り添い、年代別にヒストリー仕立ての献立を考えました。特に芋を採用したのは、食糧難の戦時下で空腹を満たしてくれた希望の食材だったとの事からです。
お弁当を作るのは初めてで、慣れない包丁捌きや健康面を留意した薄めの味付けの味見、またお弁当を詰めるのにも想像以上に時間がかかりました。
私がお弁当を祖父に渡しただけでも祖父はとても喜んでくれて、食欲がなかったにも拘らず「大したもんだね!金平牛蒡はじぃじのお婆さんの味に似ている!」「大学芋は甘くて美味しい!美味しい!」と、驚くほどどんどん食べてくれました。お弁当を食べながらたくさん話し、時間を忘れるくらい盛り上がりました。祖父は「久しぶりにお弁当をたくさん食べて、こんなにたくさんお話しした!」と破顔の笑みで大変喜び、祖父が元気になって本当に良かったと私もとても嬉しかったです。
お弁当は、お腹も心も満たし皆がたくさんの笑顔になれるものだと改めて実感しつつ、またその反面、現在日本は当たり前のように平和で飽食の世の中ですが、時代や世界の地域によっては辛苦の子供達が大勢いると思うと色々考えさせられ、お弁当作りを通して多くの学びがありました。

 

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特別審査員賞 

 平木 一佳 さん(静岡県立焼津中央高等学校1年)
「 母へ カツ丼弁当 」

 

私の母は父が再婚した人です。母と初めて会ったのは私が中学生の時でした。父の帰りが遅くなっていた時に、母は私のために夕飯を買ってきてくれました。それは私が大好きなカツ丼弁当でした。しかし私は母と対面した時緊張で体が固まってしまいました。記憶は曖昧ですが、きっと弁当を受け取った私は「ありがとうございます。」と敬語で感謝を伝えたと思います。「この人とうまく家族になれるだろうか。」そんな不安がありました。再婚後、母は努力家なことに気づきました。私達家族に馴染もうと、頑張ってくれました。今思うと、私よりも不安が大きかったと思います。この先も家族みんなで仲良く過ごしたい。あの時のカツ丼弁当を母に贈ります。

 

受賞者コメント
このたびは、私の作品を特別審査委員賞に選んでいただき、本当にありがとうございます。今まで自分のお弁当しか作ったことがなく、人のために作るのは今回が初めてでした。だから、油の使い方やおかずの配置など、いろいろ迷ってしまって時間がかかってしまいました。でも、その分とても楽しくて、いい経験になりました。朝に作るのは時間が足りなかったので、夜中に食欲をこらえながら頑張って作りました。
お弁当甲子園は学校の課題として出されたのですが、正直、はじめは何を作ればいいのか思いつかず、少し戸惑いました。高校生になってからほとんど毎日、忙しい朝でも私のためにお弁当を作ってくれる母の姿を見て、そのありがたさを感じるようになり、今回は「母に向けて作ろう」と自然と思いました。カツ丼を選んだ理由は、それが母と私の“最初の出会い“のきっかけだったからです。母への感謝の気持ちをお弁当に込めながら、一生懸命作りました。
お弁当甲子園に取り組む中で、「食べる人のことを考える大切さ」を実感しました。普段は母にお弁当を作ってもらっているので、実際に自分で作ってみて、その大変さに気づき、あらためて感謝の気持ちが強くなりました。また、限られた時間の中で見た目のバランスを考えるのは思っていたより難しく、計画性や工夫する力の大切さも学びました。

 

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優秀賞  

向井 真凛 さん(青森県立八戸高等学校1年)
「 整頓が大好きな妹へ きっちり整頓弁当 」

 

私にはしっかり者の小6の妹がいます。妹は整理整頓が大好きで、自分の部屋はもちろん、リビングでも妹の物だけはいつも整然と並んだり畳んであったりと隙がありません。そんな妹へ、大好物のオムライスで「きっちり整頓」したお弁当を作りました。卵焼き器を使ってケチャップライスを薄焼き卵で包み、食べやすく可愛い断面になるように工夫しました。メインのオムライスが引き立つよう、他の料理の色合いを工夫したり、ポテトのホクホク感や蓮根のシャキシャキ感など、食べ飽きないよう食感にバリエーションを持たせたりしたことがポイントです。このお弁当を食べて、習い事を頑張ってね!
 

受賞者コメント
この度は優秀賞を受賞することができ、とても光栄です。まさか自分自身が受賞できるとは思っていなかったので、とても驚いています。
このお弁当は部活動の活動として取り組んだのですが、先生から「誰に何のために作るのかよく考えて取り組みましょう」と言われた時、整頓が大好きな妹の好きなオムライスにしようとすぐ思いつきました。
家のリビングの棚を共有して物を置いているのですが、明らかに妹の棚は整っていて、統一感がありました。それに比べて私は妹に「汚い、片づけて」と言われてばかりでした。なので、妹にお姉ちゃんだって整頓できることを見せつけるために、このお弁当をつくりました。
お弁当を作るなかで、手際よく調理するために、調理台を整頓しておく必要や、洗い物を減らすことの大事さを感じました。献立を考えるうえでは、彩りも意識しました。
どこか照れくさくて、妹の好きなものをつめこんだお弁当をつくったことがなかったので、妹も喜んでくれて、とてもいい経験ができました。

 

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優秀賞 

 松本 藤乃 さん(愛知県立安城高等学校3年)
「 海上保安官の兄へ 好きなものだけ弁当 」

 

私の兄は、日本の海を全力で守る世界一かっこいい自慢の兄です。そんな兄が受験勉強をしていて、学校や図書館に勉強をしに行くときに料理好きの私が兄へ応援弁当としてよく作っていた兄の好きなものだけ弁当です。お弁当では野菜がしっかりととりにくいので、卵焼きにみじん切りにした野菜を入れたり、体力もしっかりとつけてほしかったので、唐揚げのモモ肉をササミに変えて、かみごたえバツグンでボリューム満タンで午後からも勉強への気合いを注入できるようなメニューにしました。そんな兄が受験成功して今では日本を守る海上保安官になっていると考えると、私までとてもうれしいです。これからも誰かに気合いを注入できるように作りたいです。

 

受賞者コメント
優秀賞をいただき、とても嬉しく思います。自分なりに栄養バランスや彩り、食べる人の気持ちを考えながら工夫したお弁当だったので、評価していただけたことが自信につながりました。調理の過程では、見た目と味の両方を整える難しさを感じましたが、完成したときの達成感は大きかったです。
兄が受験勉強をしているときに、少しでも栄養がとれて兄の体力づくりにつながる栄養満点のお弁当を考えたいと思い、兄の受験を応援する気持ちを込めて作りました。さらに栄養バランスや彩り、味つけなど一つひとつにこだわり、兄が飽きないようなメニューを作りました。また、栄養面にも注意し、高校の課題研究で学んだ「スポーツ栄養」の知識を取り入れました。一つの工夫で体力の向上につながることがわかりました。
これからも食を通して人を笑顔にできるよう、さらに工夫や挑戦を重ねていきたいです。また、将来は生徒の気持ちに寄り添える小学校の先生になりたいと思っています。高校で学んだことや今回の経験を自信につなげて、食べ物の栄養や作ってくれた人の大切さについて教えていき、毎日給食を完食するクラスを作り上げていきたいです。

 

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優秀賞 

白井 晴菜 さん(広島県立広島皆実高等学校3年)
「 家族へ 我が家弁当 」

 

台所で手を動かす祖母の姿を、幼い私はわくわくしながら眺めていました。ベーコンで巻いたパイナップルや、油の中でカラリと揚がるビスケットなど、ちょっと変わった料理が並ぶ我が家の食卓――そのひとつひとつが宝物の思い出です。その味は母を通じて受け継がれ、いつの間にか家族の定番になりました。俵型のおにぎりは米粒をつぶさず握り、口に入れるとほろりとほどけます。炊きたてごはんにおかか醤油を混ぜ込んだ香ばしさも格別。甘めの卵焼きはばぁちゃんの味そのままに、だしとねぎを加えてやさしい味に仕上げました。料理はお腹だけでなく、思い出や絆も運んでくれるもの。このお弁当には、そんな家族の温もりをぎゅっと詰め込みました。

 

受賞者コメント
優秀賞という素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。
高校最後の夏、将来の目標である家庭科教諭につなげて挑戦できることを考え、応募を決意しました。
我が家弁当は、祖母から受け継いだ少し変わった家庭料理を通して、家族の思い出や絆を形にしたものです。運動会などの学校行事でお弁当の蓋を開ける時、友人に驚かれるだろうな…でも入っていてほしい…と期待してわくわくしていた自分を思い出します。お弁当の中身を見たら、家族は皆、どれが我が家のお弁当かが分かると思います。それくらい、ちょっと変わったおかずが入るのが我が家弁当です。今回の受賞は、そんな我が家の食文化も評価していただけたのだと感じています。
将来は高校の家庭科教諭として、日々の生活の中の気づきや体験を通して学びの楽しさを伝えたいと考えています。また、これまで気づかなかったことにも目を向けられる、個々の成長を支えられる教師になることが私の夢です。

 

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優秀賞   

井田 仙太郎 さん(群馬県立沼田高等学校1年)
「 家族へ いつもありがとう弁当 」

 

家族全員のお弁当が必要な日があると知り、僕はその日の朝7時半までにお弁当を6個作ることにしました。寝坊して5時に起きてしまいましたが、献立と手順の計画を立てていたおかげでギリギリ間に合いました。前日の夕飯に豆苗炒めを作り置きして、それを入れることにしておいてよかったです。おにぎりの味付けは妹がお土産で買ってきた奄美の塩味で、妹3人のおにぎりにはのりで顔を作ってかわいくしました。ほかのおかずも家族の好みと彩を合わせました。家族にお弁当を作ることで大変さやありがたさがよくわかりました。お弁当の献立や栄養バランスを考えるのは難しかったけど家族がおいしかったと言ってくれたのでまた作ります。

 

受賞者コメント
この度は優秀賞に選出していただきありがとうございます。学校の先生から優秀賞と聞いてとても驚きました。このことを家族に知らせたらとても喜んでくれました。
いつもは親が朝早くからお弁当を作ってくれますが、夏休み中は僕も時間に余裕があったのと、妹たちも学童にお弁当をもっていくので、この機会に家族への感謝の気持ちをこめて家族全員分6個作ることにしました。妹たちの好みを確認して栄養バランスと彩りを考え、時間を予測し、早起きして作ることが大変でした。
お弁当甲子園に参加したことで、栄養バランスや彩りの大切さ、お弁当をつくることの大変さを知ることができ、親がいつもどのような気持ちでお弁当を作ってくれているのかにも気付くことができました。家族がおいしいと言ってくれてとても嬉しかったです。今回のお弁当作りで家族への感謝の気持ちを伝えることができたので、冬休みにも家族にお弁当をつくります。

 

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第14回お弁当甲子園入賞者

【最優秀賞】
酒井 しい(愛知県立岩津高等学校3年)
【特別審査員賞】
瀬戸 のどか(東京都・東洋英和女学院高等部2年)
平木 一佳(静岡県立焼津中央高等学校1年)
【優秀賞】
向井 真凛(青森県立八戸高等学校1年)
松本 藤乃(愛知県立安城高等学校3年)
白井 晴菜(広島県立広島皆実高等学校3年)
井田 仙太郎(群馬県立沼田高等学校1年)
【入選】
辻 由登(佐賀県・早稲田佐賀高等学校1年)
増田 小春(静岡県立焼津水産高等学校2年)
野田 純(広島県・安田女子高等学校2年)
原 光一(岐阜県立坂下高等学校2年)
後藤 結愛(神奈川県立横浜栄高等学校2年)
宮﨑 千咲子(広島県立広島商業高等学校2年)
國仲 彩禾(沖縄県立八重山高等学校2年)
村上 愛奈(青森県・松風塾高等学校3年)
伊藤 心海(神奈川県・公文国際学園高等部2年)
松尾 勇希(群馬県立高崎高等学校1年)
【佳作】
田中 沙和(東京都・目黒日本大学高等学校1年)
田口 晴也(佐賀県・早稲田佐賀高等学校1年)
梶原 みなも(福岡県立東筑高等学校1年)
沼口 恵茉(東京都・早稲田実業学校高等部2年)
佐藤 彩奈(千葉県立佐倉高等学校3年)
西岡 葵唯(徳島県立城東高等学校1年)
中野 美咲(静岡県立清流館高等学校3年)
小池 麻唯子(静岡県・静岡女子高等学校2年)
島尻 鈴菜(沖縄県立名護高等学校3年)
矢田 陽南(徳島市立高等学校2年)
朝倉 由衣(愛知県立豊橋南高等学校2年)
飯塚 健志朗(埼玉県・本庄東高等学校1年)
工藤 暖華(茨城県・水戸女子高等学校3年)
庄司 彩華(茨城県・水戸女子高等学校2年)
平田 芽依(大阪府立清水谷高等学校2年)
 
【文部科学大臣賞】
福岡県立東筑高等学校
【学校賞】
東京都・早稲田実業学校高等部
佐賀県・早稲田佐賀高等学校
神奈川県・湘南学院高等学校
【鎌倉女子大学賞】
東京都・目黒日本大学高等学校
埼玉県・本庄東高等学校
福岡県立福岡高等学校
 

今年もたくさんのご応募、誠にありがとうございました。
来年も開催を予定しております。素敵なお弁当に出会えることを楽しみにしております。