今の高校生たちは、思春期がコロナ禍と重なっている。LINE公式アカウント「高校生新聞編集部」をフォローしている高校生読者から、受験がつらくて心がしんどいと複数の声が寄せられた。「本郷赤門前クリニック」で受験生のケアを行う吉田たかよし先生によると、明らかにメンタルが不安定な高校生が増えていると言う。(安永美穂)
デリケートな高校生が増加
現在は、昔に比べるとメンタル面がデリケートな高校生が明らかに増えていると感じます。特にコロナ禍以降はその傾向が顕著で、メンタル面の不調は受験の合否への影響度合いも大きいため、親の世代なら乗り越えられたようなことでも現在の高校生が経験すると危機的な状況に陥ってしまうことが珍しくありません。
もともとメンタル面が不安定なところへ受験勉強という大きなストレスが加わると、心のバランスを失い抑うつ状態になる「受験うつ」になるおそれがあります。これは誰にでも起こり得ることなので、「私には受験うつなんて関係ない」と思っている人は考えを改めていただきたいですね。
「心の回復力」が十分でない
現在の高校生は、コロナ禍に思春期を迎えた世代です。皆さんは感染対策のために部活動や学校行事を中止・縮小せざるを得なかったり、友人との密なコミュニケーションを禁じられたりといった不自然な生活を長期にわたって送ることを余儀なくされました。
そのため、「レジリエンス(心の回復力)」を十分に身につけることができず、メンタル面のコントロールが難しくなっているのではないかと推測されます。
新生活で青春を謳歌して
そんな大変な状況の中で中学・高校時代を過ごしてきた皆さんだからこそ、入試を終えて新生活のスタートを迎えたら、「毎日を全力で楽しんでほしい」と思います。新たに出会う人々と積極的に関わり、いろいろな場所に出かけて青春を謳歌することは、レジリエンスを高めていろいろな困難に立ち向かえる自分へと成長していく上でもかけがえのない経験になるはずです。応援しています!
吉田たかよし先生
よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医師。「本郷赤門前クリニック」院長として、脳科学と学習医学を活用して受験生の心身をサポート。「受験うつ」「受験燃え尽き症候群」などの治療に取り組んでいる。「本郷赤門前クリニック(吉田たかよし院長)」HP
http://www.akamon-clinic.com/
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