進路選択で重要なオープンキャンパスを、ただの施設見学だと思っていてはNG。自分に合った大学を見極めるために必要な事前準備や持ち物、服装について、進路指導アドバイザーの倉部史記さんに聞いた。(安永美穂)
「お客さま」感覚はNG
―事前準備でやっておくとよいことを教えてください。
キャンパスのきれいさに感動し、学食でランチして満足してしまう高校生が多くいます。こうした「お客さま」感覚はNG。オープンキャンパスは遊びに行く場ではなく、「学習者」の視点でリサーチしに行く場です。何を知りたいのかを事前に書き出し、参加する目的を明確にしておきましょう。
―具体的にどんなリサーチをするとよいでしょうか?
例えば、ディズニーランドに行くとき、どのアトラクションをどんな順番で回ろうか、調べてプランを立てますよね。オープンキャンパスも同様です。
多くの大学では、当日のタイムスケジュールをウェブサイトで公開しています。模擬授業や先輩のトークセッションなど、時間が決まっているプログラムは事前に確認し、優先順位を決めてから参加することをおすすめします。
写真や動画を撮ると役立つ
―あると便利なマストアイテムは?
筆記用具はペンのほかにノートも持って行き、気づいたことはメモを取りましょう。スマートフォンも持参し、撮影を禁止されていない場所では写真や動画を残しておくと帰宅後の振り返りに役立ちます。夏は熱中症予防のための水分補給も大切なので、キャンパス内の自動販売機で飲みものを購入するための小銭も用意しておくとよいでしょう。
―カバンはどうする?
オープンキャンパスでは、大学名の印刷された紙袋などに入った資料が配布されることがあります。それを持ったまま別の大学を訪問するのは気まずいこともあるため、1日に複数の大学のオープンキャンパスに参加する場合は、紙袋ごと収納できる大きめのリュックサックなどを用意しておくと便利です。
誰と行くかでメリットが変わる
―一人、友達、保護者……誰と行くのがよいものでしょうか。
一人で参加すれば、自分の興味・関心に応じて、質問をしたりプログラムに参加したりできます。友達と参加すると、友達の興味のある学部を見て回ることで視野が広がるメリットがありますが、友達に合わせてばかりだと自分が興味のあるプログラムに参加できなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
保護者と参加する場合、就職率や資格取得状況など大人だからこそ気付きやすい部分を指摘してもらえるのはメリットです。ただし保護者の意見に流されるのではなく、自分で参加プログラムを選んで積極的に質問するようにしましょう。大学に行くのは「あなた自身」だということを忘れないでくださいね。
私服参加で問題なし
―どんな服装で行けばよいですか?
総合型選抜の受験に必要なプログラムに参加する場合は制服がよいかもしれませんが、一般的には私服で問題ありません。実習のプログラムなどで動きやすい服装を指示されている場合は、その指示に従いましょう。
夏のオープンキャンパスでは、屋外は暑くても屋内は冷房がきいていることが多いので、室温に応じて調節できる服装で参加するとよいでしょう。
倉部史記(くらべ・しき)さん
進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。