自然科学部に所属する坂手遥さん(島根・浜田高校3年)は、傷ついた植物から出る白い液「植物乳液」の防虫効果について研究し、第46回全国高校総合文化祭の自然科学部門で成果を発表した。(文・写真 中田宗孝)

虫が付きづらくなる「植物の白い汁」

坂手さんは「植物乳液」をテーマに、理数科の授業や部活動の中で研究した。植物乳液は、タンポポやレタスなどの植物を傷つけると出てくる白い液体。虫を付きにくくさせる特徴があると言われており、坂手さんはそれを実験で裏づけようと試みた。

「植物乳液の防虫効果と効果的な利用方法について」と題した研究発表をする浜田高校自然科学部の部員たち

実験は、イチジクやトウダイグサといった4種の植物乳液を使用。乳液を吹きつけた植物の葉と乳液なしの葉、どちらの植物の葉にアブラムシが移動するのかを比べた。その結果、どの植物乳液も、アブラムシの移動を防ぐ効果がみられた。

自然に生える植物の茎に乳液を吹きつけ、アブラムシの動きを観察しても結果は同様だった。植物乳液の防虫効果を立証した。

虫を寄せ付けない物質を特定

「植物乳液には、『植物の葉を食べる虫に何らかの影響を及ぼす物質』が含まれているのではないか」と仮説を立て、詳しく調べてみることに。すると、植物独特の匂いや味を作りだす有機化合物「テルペン類」が植物乳液に多く含まれると判明した。このテルペン類の種類と量が多い植物乳液を持つ植物が虫を寄せつけない、と結論づけた。

坂手さん(中央)の研究内容に共感した横山麗乃さん(2年・左)、渉結名さん(2年)ら後輩部員が研究をサポートした

 

防虫効果の高い植物乳液は化学肥料などに有効利用できると、実用化する案を提案した。「有限の石油資源とは異なる、再生可能な資源としても植物乳液は魅力的です」

4人の後輩部員が実験や素材集めをサポートした。今後、植物乳液の研究も引き継ぐという。

科学が大好きな坂手さん。今回は生物の実験を行ったが、授業では物理をメインで学び、「一番好きなのは地学」だという。「どんな理系分野でも何かしらのつながりがあると思っています。研究では、好奇心を持ち、常に楽しむことを大切にしています」