話題作への出演を重ね、存在感を発揮する俳優の鈴鹿央士さんに高校生記者がインタビュー。「将来を決めることが不安」という高校生の等身大の悩みに鈴鹿さんが答えてくれました。(取材・余澤愛=高校生記者、構成・中田宗孝、写真・西村満)

やりたいことは変わっていい

―読者の高校生から鈴鹿さんに質問が寄せられました。「私は将来のビジョンが定まっていません。今、目指している進路はあるのですが、進学後に自分のやりたいことが変わってしまうかもという不安があるんです。鈴鹿さんは俳優の道を進むうえで、どんな決断をしたのか教えてください」

僕自身は高2のときに偶然、芸能事務所の方にスカウトされて、それまで一度も考えたことすらなかった芸能界を意識するようになったんです。

鈴鹿央士さん(スタイリスト:朝倉豊、ヘアメーク:阿部孝介)

でも、役者を始めてしばらくは、「これが本当に自分のやりたいことなんだ」と思っていたわけではないんです。役者よりもやりたいことが別に見つかるんじゃないないかと思ったときもありましたし、企業への就職も考えた時期もありました。でもあるとき、やりがいを感じる作品に運よく巡り合えたことで、役者を頑張ろうと決断できたんです。

将来のビジョンを考えたとき、気持ちが揺れ動くのは自然だと思う。決断は先延ばしで良いと思います。進学後、さまざまな経験をする中で、ビジョンは広がっていくはずだから。

高校時代の友達は貴重

―続いては、「高校時代にすべきことは何だと思いますか。高校生に向けてメッセージをお願いします」。

友だちづくりです! 高校生のみなさんも社会人になってから気がつくと思いますが、高校や大学、学生時代に出会う友人は、年齢を重ねるたびに、かけがえのない存在になっていきます。学生時代の友人たちは、就いている職業や社会の中での肩書といった先入観なく、大人になってからも気兼ねなく接しあえるんです。

友だちが多くなくてもいい。今いる友だちとの関係を大切に続けていけば、社会人になってから、必ず自分の生活に彩りを添えてくれます。

キャラに命吹き込む難しさ実感

―劇場アニメ「夏へのトンネル、さよならの出口」では声優に挑戦されました。役者と声優では役づくりや演技の取り組み方は変わるのでしょうか。

役者としてなら髪型や服装といったビジュアルを変えたり、演じる役柄っぽい動きの所作をしたりと、自分自身の表現力でキャラクターを作っていくことができます。

 

声優の場合は声のみ。アニメーションのキャラクターデザインの担当者はじめ、さまざまな方が携わって、ひとつのキャラクターを完成させます。僕が担うのは、キャラクターに命を宿していく声を吹き込むこと。自分が表現できるのが声だけなので、難しさは感じていました。

一方で、難しいからこそやりがいもあったんです。今作では、物語が進むに連れてカオル君の内面に変化が生まれ、声のトーンも徐々に変わっていくようにしたんです。

―今作では、ヒロイン役の声を担当する飯豊まりえさんと一緒にアフレコを行ったとうかがいました。

はい。飯豊さんと2日間にわたり、物語の展開どおりに声の収録を行いました。収録の合間には飯豊さんと自然にコミュニケーションを取れたこともあって、当初すごく緊張していた僕も次第に楽しくなっていったんです。

そんな僕らの関係性が、今作の中でのカオル君と(飯豊まりえ演じる)あんずさんの心の距離が縮まっていくのと、うまい具合にリンクできたかなと感じます。物語の中でも、お互いに演じたキャラクター同士で良い掛けあいができました。

鈴鹿央士さんのサイン色紙を1人にプレゼント! 

高校生新聞編集部LINE公式アカウントとお友達になってから、「鈴鹿さん色紙希望」と明記の上、「学校名・学年・性別・記事の感想」をメッセージに書いて送ってね。応募資格は高校生・中学生に限ります。10月31日締切。当選者には編集部からメッセージでお知らせします。

すずか・おうじ 2000年1月11日生まれ。岡山県出身。19年、俳優デビュー作「蜜蜂と遠雷」にして映画初主演を果たす。主な出演作は、ドラマ「ドラゴン桜 第2シリーズ」、「六本木クラス」、映画「かそけきサンカヨウ」、「バイオレンスアクション」など。男性ファッション誌「MEN'S NON-NO」の専属モデルとしても活動する。

【取材後記】受験に前向きになれた

今回鈴鹿さんに取材に心を躍らすと同時に、鈴鹿さんのプロ意識やその人間性に触れることができました。はじめはとても落ち着きのある方だなと印象を受けました。写真撮影中は「今学校で流行っているポーズとかある?」と気さくに声をかけてもらい、実際に私が答えたポーズをしてくれて、ユーモラスな側面もある素敵な大人だという風に感じました!

私は現在高校3年生として受験期にさしかかり、ナーバスになってしまう瞬間もあります。けれど「学生時代の友人はかけがいのない存在になる」という言葉に、大学入学後に広がる学生生活に思いを馳せながら、前向きな気持ちで大学受験に臨もうと改めて思いました。

鈴鹿さんと高校生記者(左)

「夏へのトンネル、さよならの出口」

八目迷の同名青春小説をアニメ化。高校2年生の塔野カオル(声:鈴鹿央士)は、幼い頃の心の傷を抱えながら学校生活を過ごしていた。ある日彼は、願いをかなえるとうわさされていた「ウラシマトンネル」を偶然発見する。カオルと同じクラスに転校してきた花城あんず(声:飯豊まりえ)もトンネルの存在に気がついた。カオルはあんずから、トンネル調査のために協力関係を結ぼうと提案される。配給:ポニーキャニオン。9月9日(金)から全国公開。

(C)2022 八目迷・小学館/映画『夏へのトンネル、さよならの出口』製作委員会