台湾のデジタル担当大臣オードリー・タンさん(39歳)は、新型コロナウイルス感染拡大防止を成功させ、注目を集めています。最年少で台湾の閣僚となり、トランスジェンダーを公表していることでも知られています。オードリーさんは9月、「社会はどう変えられる?」をテーマにしたオンラインイベント(Inspire High主催)に登壇。日本や台湾の中高生と語り合いました。参加した高校生記者が、その模様をリポートします。

マスクマップを作り新型コロナ対策

オードリーさんは、薬局でのマスクの在庫を誰もが確認できる「マスクマップ」を開発し、新型コロナウイルス感染拡大防止に尽力しました。

台湾デジタル大臣オードリー・タンさん

マスクマップでは、地図上でマスクの在庫が十分にある薬局は緑、マスク不足の薬局は赤で表示されます。人々が1カ所の薬局で長蛇の列に並ばなくても、マスクを入手できるようになりました。

初めの3カ月ほどは、在庫の増減に印が対応するまでに時間差があり、実際にはマスク不足の薬局にマスクを求める人々がやってきてしまうこともあったといいます。そこで、誰でも在庫状況を政府に報告できる「ホットライン」を設置。マスクマップがより正確に在庫を知らせてくれるようなりました。

一人一人の行動が社会を変える

オードリーさんは、このような政府と国民の協力は、「台湾では普通のことだ」と話しました。台風や地震などの災害が発生したときにも、国民の情報提供のおかげで政府はより迅速な対応ができるといいます。

「台湾では全体の4分の3の人々がマスクを着用すれば感染拡大はしないとされ、人々はこれを理解して、各自が手洗いやマスク着用など、できることを実行しました。小さなことかもしれませんが一人一人の行動が状況を変え、その結果台湾ではロックダウンを行う必要がありませんでした」

マスクマップについて語るオードリーさん

「良い社会を作りたい」という意識を持つ

マスクマップという新しいシステムが生み出され、台湾の人々はそれを受け入れ、結果的に新型コロナウイルス対策が成功しました。こうした新しいシステムに対し、私たちはどう行動すればよいのでしょうか。

オードリーさんは、一人一人が、世界が一丸となって「よりよい社会を作っていくんだという意識を持つこと」の大切さを強調しました。そして、多くの人が新しい技術を知って、周囲と共有し、発信し、行動に移せば、よい結果をもたらすと指摘します。

「技術革新を実現するとき、世界中に共有できれば、その技術をあらゆる場所で同じように使えます。実際、台湾のマスクマップは韓国でも利用されました」