新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校が続いたことで、授業の遅れや生活リズムの乱れなどに不安を感じている人も多いのではないでしょうか。医師として受験生のメンタルケアに取り組む吉田たかよし先生に、高校生から寄せられた悩みへのアドバイスを聞きました。

お悩み:新型コロナで大学入試がどうなるか分からずイライラして不安になる

大学の入試日程がなかなか決まらないですよね。センター試験に代わり新しい試験がスタートするらしいですが、日程が2回に増えるとも聞くけれど、どうすればよいのやら……。入試について未定だったりよくわからないことがたくさんあって、受験生としては不安やいらだちが募ります。なぜ私たちの代ばかりこんな目に合うの…?と理不尽な思いで胸がいっぱいになってしまいます。新型コロナウイルスの影響で、今後の予定がわからないことが多いこの現状を、どう受け止めていけばよいのでしょうか。

やることは例年通り変わらない

大学入試の日程がどうなるかということは、自分の意思ではコントロールできないことです。ですが、入試日程が未定であることを踏まえてどのような勉強計画を立てるかということは、自分の意思でコントロールすることが可能です。

入試、いったいどうなるの…? 

入試直前期の勉強計画を立てるのであれば入試日程の詳細を把握しておく必要がありますが、夏から秋にかけての勉強計画を立てるうえでは、入試日程が現時点では未定だったとしても、大きく戦略が変わるわけではありません。基礎固めなど、この時期にやるべきことは例年と変わらないということを、まずは認識しておきましょう。そうすれば、入試日程が未定であることに対して過度の不安やいらだちを感じずにすむはずです。

心理学の世界で広く知られている実験に、「シロクマの実験」というものがあります。

シロクマを考えるなと言われても…

この実験では、シロクマの映像を見たあとで「シロクマのことは絶対に考えないでください」と言われていたグループの人たちが、他のグループの人と比べて、シロクマの映像を最も鮮明に覚えていたという結果が得られました。人間は、「これについて考えるのはやめよう」と思っている限り、かえってそのことに強くとらわれてしまいます。では、シロクマのことを考えないようにするにはどうすればよいかというと、パンダなど他の動物のことを考えるようにすればよいのです。

具体的に「やれること」を実行

入試日程が決まらないことへの不安やいらだちを軽減する方法もこれと同様で、入試日程のこと以外の、何か自分にとってプラスになることを考えるようにしてみましょう。例えば、「これからの1時間で何をやるか」を考え、「この問題集を何ページまで進めよう」「英単語をここまで覚えよう」という具体的な予定を立て始めると、入試日程にまつわる雑念を取りはらうことができるはずです。勉強を始めてもまだ不安が続く場合には、他のことを考えなくてもすむように、教科書や英文などを音読してみるのもおすすめです。

 

吉田たかよし先生

よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医師。「本郷赤門前クリニック」院長として、脳科学と学習医学を活用して受験生の心身をサポート。学習塾「浜学園」のホームページで、勉強法や合格を勝ち取るための食事のレシピなどの動画を公開中。
https://www.doctor-yoshida.net/