新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校が続いたことで、授業の遅れや生活リズムの乱れなどに不安を感じている人も多いのではないでしょうか。医師として受験生のメンタルケアに取り組む吉田たかよし先生に、高校生から寄せられた悩みへのアドバイスを聞きました。

お悩み:集中できず応用問題や長文読解が解けない

休校明けから、勉強はしているのですが、なんだかはかどりません。イライラして集中できないことも増えてきました。特に応用問題や長文読解など集中力が求められる問題が思うように解けずに困っています。休校前のように勉強に集中できるようになるのでしょうか。

体は休み頭だけ使おうとすると脳が不調に

新型コロナウイルスの影響で本来とは異なる生活が続きましたね。このような状況下では、頭だけで物事を考えるのではなく、体を動かして自分の身体感覚に意識を向けることがとても重要です。

頭ばかり動かしているとうまくいかなくなる

長い休校期間を経て学校が再開したことで、運動不足の状態で頭だけを働かせるようになると、はじめの数週間は勉強がはかどるように思えるかもしれません。ですが、その後、理由もなくイライラしたり、スマホやゲームについ手が伸びてしまったりといったことになりがちです。これはその人の意思が弱いからではなく、体は休んでいる状態なのに頭だけが動こうとすることで脳機能の不調を招いているからだと考えられます。

時間をかけずに運動量を増やしてみて

本来、人間の体と脳は連携しているので、体が動けば脳も活発に動くようになります。体が休めば脳も休むというのが通常の状態です。応用問題や長文読解問題が解けないというのは、脳機能が十分に働いていない可能性があり、その原因は運動不足による身体感覚の欠如である場合も少なくありません。

通学で早歩きするのも一つの手

そのような場合は、勉強中にスクワット運動に取り組んだり、通学のときは早歩きにしたりして、時間をかけずに運動量を増やしてみるとよいでしょう。休校により運動不足になっている人が多いので、勉強効率が上がらないと感じたら、まずは体を動かすことを意識してみてください。

 

吉田たかよし先生

よしだ・たかよし 医学博士・心療内科医師。「本郷赤門前クリニック」院長として、脳科学と学習医学を活用して受験生の心身をサポート。学習塾「浜学園」のホームページで、勉強法や合格を勝ち取るための食事のレシピなどの動画を公開中。
https://www.doctor-yoshida.net/