ライトノベルが大好きな高校生記者・鈴木とこー君はこれまでに200冊以上のラノベを読んでいます。そんな彼がおすすめする『継母の連れ子が元カノだった』を紹介してもらいました。

元カノが義理のきょうだいに

継母の連れ子が元カノだった』紙城境介著 たかやKiイラスト(角川スニーカー文庫、660円=価格は1巻、税抜)

今回ご紹介するライトノベルは、「THE青春」と呼べるであろう、甘酸っぱい恋の物語です。そのタイトルを『継母の連れ子が元カノだった』と言います。

『継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない』/紙城境介著 たかやKiイラスト(角川スニーカー文庫、660円=価格は1巻、税抜)

このタイトルからも分かるかもしれませんが、この作品の1人目の主人公である伊理戸水斗には付き合っている女の子がいました。しかし、ひょんなことからすれ違い、別れるはめになってしまいます。そんな水斗の父が、水斗の同級生を子に持つ女性と再婚するところから物語は始まるのです。

そして、その再婚相手の一人娘である綾井結女――改め伊理戸結女こそが、この作品のもう1人の主人公であり、伊理戸水斗の「元カノ」でした。

ライトノベルの神髄を感じる

この作品の魅力は、ずばりこの二人の主人公の掛け合いです。

恋人から元恋人へ、そして義理のきょうだいになった二人は、しかしお互いを異性として意識してしまいます。付き合っていた頃のことを思い出しながらも、義理のきょうだいであろうとする二人。彼らのやり取りにはキュンキュンさせられること間違いなしです。

しかも、この作品はその「演出力」「描写力」において他の追随を許しません。二人の主人公の一人称視点を切り替えるタイミング、挿絵の入れ方などなど「ライトノベルの神髄!」と叫びたくなるほどのクオリティーです。

自分がいとしいと思う人は…?

そんな恋物語な本作ですが、読んでいるとただキュンキュンするだけではなく、深く考えさせられる作品でもあります。

再婚相手である二人の主人公の親。主人公たち自身の経験。そして彼らと関わっていく人たち。さまざまな人にとっての「愛」が描かれる中で、僕は「じゃあ自分がいとしいと思う人は?」と自分に問いかけるようになったのです。

もちろんこれは、恋愛的な意味だけの「愛」ではありません。

友達への愛情、家族への愛情、自分への愛情。そういったさまざまな「愛」について目を向けることは、鏡の向こう側の自分と交換日記をするみたいに気恥ずかしく、すてきなことだと思います。

キュンキュン、ニヤニヤ、間違いなし

現在進行中で恋をしている人も、失恋してしまった人も、そもそも恋なんてする気もない人も読んでいただきたい作品です。難しいことを考えずにだらだらと読めばキュンキュンニヤニヤすること間違いなしですし、がっつり読めばシーンのところどころで感動することでしょう。

普段は漫画しか読まないという方でも、非常に読みやすい作品ですので、ぜひ読んでみてください。(高校生記者・鈴木とこー=2年)