ライトノベルが大好きな高校生記者・鈴木とこー君はこれまでに200冊以上のラノベを読んでいます。そんな彼がおすすめするラノベ『俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。』を紹介してもらいました。

ほかとは一味違うラブコメ設定が面白い

『俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。』戸塚陸著 昆布わかめイラスト(ファンタジア文庫、630円=価格は1巻、税抜)

世の中には多くの「ラブコメ」があります。実写映画化するものもあれば、アニメ化するものもあります。

今回ご紹介するのは、そんな「ラブコメ」について深く考えさせられる一作、『俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。』です。

『俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。』戸塚陸著 昆布わかめイラスト(ファンタジア文庫、630円=価格は1巻、税抜)

主人公なのにヒロインから好かれない…?

主人公の成瀬和臣は、人気者の男子高校生です。運動も勉強も努力とセンスで見事にこなし、加えて人当たりもよくてイケメン。そんな彼の近くには、「学園三大美少女」と呼ばれる、それはそれは魅力的な女の子たちがいました。

こうなれば、主人公とその「学園三大美少女」が惹かれあうのが筋でしょう? ですが、そうは問屋は卸しません。その「学園三大美少女」はなんと、主人公とは真逆の、実に目立たない男子高校生に興味を持っているのです。

真っすぐな性格の主人公の行動がかっこいい

「目立たない主人公に美少女たちが好意を持つ」設定は、「ラブコメ」にはとても多く見られる設定です。でもこの作品の主人公は目立つ存在。しかも目立たないサブキャラに美少女たちが好意を持っているのが、明らかに他の作品と違います。

タイトルにある通り、成瀬はその目立たない男の子から「学園三大美少女」を奪うために奮闘するわけなのですが、そこで毎度「ラブコメ」設定の強さを実感させられます。そしてそこに、私は言葉で表現するのが難しい心地よさを感じました。

いろいろとすれ違いが起こりつつも学校生活が進んでいくのですが、その中での成瀬の行動がかなりかっこいいのも魅力です。ややナルシストなところがありつつもしっかりと周囲のことを見ていて、向上心も持っている。そんなところがすごく魅力的で、応援したくなります。

あまり言いすぎてしまうとネタバレになってしまうのですが、彼の「真っすぐだからこそ悪ぶってしまう一面」や「真っすぐだからこそ当然、誰かに手を差し伸べている」というかっこよさは、この作品を数段、面白くしていること間違いないのでぜひ、そういう点に目を向けながら読んでいただきたいです。

全般としてコメディーみも強いため、読みやすい作品です。一方で普段から「ラブコメ」に触れている方は、よりこの作品を楽しめますし、この作品を読むことで他の作品をさらに楽しめるようになると思います。(高校生記者・鈴木とこー=2年)