ライトノベルが大好きな高校生記者・鈴木とこー君はこれまでに200冊以上のラノベを読んでいます。そんな彼がおすすめするラノベ『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』を紹介してもらいました。

恋愛アンチの男の子が主人公、笑えて泣けてグッとくる

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』裕時悠示著 るろおイラスト(GA文庫、600円=価格は1巻・税抜)

高校生。いわゆる青春と呼ばれるこの時期には、部活動だったり、将来のための勉強だったり色んなことをするでしょう。その中でも恋愛というのはひときわ桃色で、華やかさの象徴だとも言えます。

今回ご紹介するのは、そんな恋愛を忌む「恋愛アンチ」の男の子の物語です。

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』裕時悠示著 るろおイラスト(GA文庫、600円=価格は1巻・税抜)

『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』というタイトルであるこの作品は、第1巻が2011年に刊行され、アニメ化もされた人気シリーズです。現在も刊行され続けていることから見ても、その人気の確かさはお分かりになっていただけると思います。

この作品は、何と言っても「笑えて」「泣けて」「グッとくる」という、三拍子がそろっており、まさにど真ん中のラブコメディーと言えるでしょう。

THE王道なハーレム物語

主人公の季堂鋭太は、とあるきっかけから医者になるために日々励む男子高校生です。彼は大学の医学部への推薦枠を獲得するために日夜努力し、テストでいい成績をとろうとしています。

だからこそ、恋愛になんてうつつを抜かしている暇はない、と考えるわけです。しかし、そんな彼の周りには個性豊かな美少女たちが集まり、彼に好意を見せていきます。この作品は、ものすごく分かりやすく言えば「THE王道なハーレム物語」です。

コメディーあり、涙あり

彼や彼の周りのキャラクターたちが織り成す日常はツッコミどころも多く、だからこそものすごくケラケラ笑えます。普段は本を読まない、という方でも、この面白さがあるので読みやすいと思います。

そして、そんなコメディーの中に時折、とても泣ける部分があるのです。それは主人公の熱さだったり、ヒロインたちの行動だったりとさまざま。

もちろん、ラブコメの「ラブ」の部分に足りえる切ないシーンもありますし、逆に胸がキュンキュンするシーンだってたくさんあります。加えて、名作のラブコメを読むと必ずと言っていいほど垣間見ることのできる「ラブ」を超えたところにある感動もまた、この作品は見せてくれるのです。

軸がぶれない主人公が魅力的

また、同じく名作のラブコメに共通しているように、この作品でも主人公が魅力的です。

彼の「恋愛アンチ」という姿勢にもしっかりと軸がありますし、医者という目標に向けて苦しみながらも努力して、色んなことに気付いていく姿にはハッとされることも多いでしょう。

決して万能ではないですし、ずばぬけて何かができるというわけでもない。だからこそ努力をしていて、時には熱くなれる彼のことが好きになること間違いなしです。

恋とは何か。人と人との関係性とは何か。

そういうことを考えさせられる一作でもあります。恋をしなくてもいい時代、ソーシャルディスタンスで人と人との距離ができている今の時代だからこそ、鬱屈(うっくつ)な思いを振り払って笑いながらも何かを感じ取っていただきたい作品です。(高校生記者・鈴木とこー=2年)