ライトノベルが大好きな高校生記者・鈴木とこー君はこれまでに200冊以上のラノベを読んでいます。そんな彼がおすすめする『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』を紹介してもらいました。

クラスメートの厄介ごとを双子姉妹と解決

『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』玩具堂著 悠理なゆたイラスト(MF文庫J、 640円=価格は税抜)

シャーロックホームズ、明智小五郎、エルキュールポアロ……古今東西、「名探偵」が活躍する小説は広く知られ、多くの人々を魅了してきました。

『探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』玩具堂著 悠理なゆたイラスト(MF文庫J、 640円=価格は税抜)

今回ご紹介するライトノベルはそんな“名”探偵ではなく、「名無しの探偵」を中心として紡がれる青春の物語です。

作品の主人公となるのは、探偵を父親として持つ普通の男子高校生・戸村和です。ただここで指摘しておきたいのは、ここで言う探偵とは「謎を解決」する仕事ではなく、浮気調査や素行調査をする探偵だ、ということです。

彼は高校に入学し早々、クラスでの自己紹介で焦り、自分の父親が探偵であることを話してしまいます。その結果、周囲の人から厄介ごとを相談されるようになり……というところから、物語は展開するのです。

作り込まれたミステリー、でも読みやすい

とはいえ、彼は本当にただの高校生。探偵としての技能があるわけでもなく困っていたところに、彼の両隣の席である双子姉妹が関わってきます。

冷静で友達は少ないが博識な妹、山田雪音。お気楽で誰とでも関われるマイペースな姉、山田雨恵。この二人と共に、彼はいくつかの事件を解決していくことになるのです。

ミステリーであり、そしてラブコメでもある。この作品のすごいところはこの2ジャンルを絶妙に取り込んでいることにあると言えるでしょう。

正直、私自身、ミステリー単体の作品であれば少し読むのに時間がかかってしまいます。けれどもこの作品は、ミステリーとしてしっかりと謎が作りこまれている一方で、そこには主人公たち三人の関係性に変化をもたらすような要素がちりばめられています。

あくまで「探偵」を「日常」とし、まるで雑談をするかの如く謎をひもといていく過程は、ミステリーを普段読まない人であっても十二分に楽しめるでしょう。

読書が苦手な人にぜひ手に取ってほしい

小さい頃は、色んな童話を読み聞かせてもらって本が好きだったのに、いつからか読書すらしたくなくなった。国語の勉強では一文一文をしっかり読まなければいけなくて疲れる。そのように、「読書=疲れる」という認識を持っている方にもぜひ、読んでいただきたいお話です。

ミステリーですが平和で、日常なラブコメディーでもある作品です。がっつりと読んで先に謎を解くのもよし、何となく読んで謎が解かれるのを感心するのもよしの、自由な作品だと思います。読書が好きな方も苦手な方も、ぜひご一読ください。(高校生記者・鈴木とこー=2年)