新型コロナウイルスの感染防止のために、夏から秋にかけて開かれる高校生の大会の中止や変更が相次いでいる。主な大会の状況をまとめた。

「夏の甲子園」戦後初の中止

日本高校野球連盟と朝日新聞社は5月20日、8月10日に阪神甲子園球場(兵庫県)で開幕予定だった第102回全国高校野球選手権大会と代表校を決める地方大会の中止を決めた。大会の中止は、戦後初めて。戦争により中断した1942~45年をのぞくと、米騒動があった1918年、戦時中の1941年に続き、3度目という。

代表校の移動や宿泊で感染の危険があることに加え、全国の高校で部活動の中止が続き、選手の練習が十分でないことや、夏休みの短縮に伴い、地方大会が学業の支障になりかねないことも考慮したという。

日本高野連は、第65回全国高校軟式野球選手権大会と地方大会の中止も決めた。

インターハイは史上初の中止

全国高校体育連盟は4月26日、8月に全国21府県で分散開催する予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止を決めた。中止は初めて。競技中や移動、宿泊に伴う感染の危険に加え、高校の休校が続き、十分な練習時間を確保できないことなどが理由だ。3月に開かれる予定だった全国高体連加盟協議の全国大会に続く中止だ。各都道府県の高校総体の中止の決定も相次いでいる。

全国高校総合文化祭はネット開催

一方、全国高校文化連盟と文化庁、高知県は、第44回全国高校総合文化祭高知大会「2020こうち総文」(7月31日~8月6日開催予定)について、会場に生徒が集まる形式での通常開催はせず、オンラインでの開催を決めた。「会場では人の密集が予想され、会場までの長距離移動や宿泊施設でも感染のリスクが高いこと、参加者全員の感染防止を徹底することも難しい」ことを理由にあげた。インターネットで生徒の写真や演奏の動画などを配信するほか、ネット上で生徒の交流を図ることも検討しているという。

NHK放送コン、吹奏楽コン、合唱Nコンも中止

全国放送教育研究会連盟などは4月27日、第67回NHK杯全国高校放送コンクールの中止を決めた。8月に兵庫県で開かれる予定だった全国コンテストと、5月から各都道府県で開催予定だった都道府県コンテストをともに中止する。

全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社は5月10日、10月に予定していた第68回全日本吹奏楽コンクールなどの中止を決めた。各地域の大会の開催の可否は、地域の連盟が判断する。

NHKは5月18日、11月に予定していた合唱の第87回NHK全国学校音楽コンクールの中止を決めた。7月下旬に始まる予定だった地区コンクール、ブロックコンクールも中止される。「集団による合唱は、十分な間隔をあけたり近距離での発声を避けたりすることに限界があり、感染拡大のきっかけにつながりかねない」と判断したという。

高校生クイズは「延期」

日本テレビは5月18日、夏の第40回全国高校クイズ選手権の延期を決めた。「安全に大会が開催できるように、適切な時期や方法について検討中」としているが、やむを得ず開催が中止となる可能性もあるという。