高校の文化部の精鋭が全国から集う第44回全国高校総合文化祭高知大会「2020こうち総文」(7月31日~8月6日開催予定)について、主催する全国高校文化連盟、高知県、文化庁などは5月12日、新型コロナウイルスの感染防止、高知県の会場に生徒を集めた形の開催をとりやめることを決めた。オンラインで作品を配信したり、生徒に交流してもらうことを検討している。

動画や写真を集め、WEB上で公開予定

全国高校総合文化祭は、毎年、会場となる都道府県をかえて開催される。今年は高知県内で演劇や書道、美術・工芸、吹奏楽など23部門が県内の会場に分かれて作品を発表したり、生徒同士が交流する予定だった。

昨年の全国高校総合文化祭(佐賀県で開催)の総合開会式の様子

全国高校文化連盟は「新型コロナウイルス感染症拡大が終息する見通しがたたないこと、会場では人の密集が予想され、会場までの長距離移動や宿泊施設でも感染のリスクが高いこと、参加者全員の感染防止を徹底することも難しいことから、生徒の生命の安全・健康を最優先に考え、 通常開催ではなく、ウェブ上での発表・交流の開催とした」と発表した。

高知県の担当者によると、参加予定の生徒の写真や演奏動画などを集めて配信することを予定しているという。全国の高校で休校が長期間におよび、動画や写真の撮影がままならない状況をふまえ、「ぎりぎりまで受け付けていきたい」としている。生徒同士の交流も、WEBを利用した何らかのかたちで実現できないか、検討を続けている。

だが、百人一首や囲碁、将棋などの対戦競技については、出場者を決定する各県などの予選が実施できておらず、開催は厳しい状況という。

総合開会式のミュージカル、無観客・ライブ上演などの道を模索

7月31日~8月6日に開催する予定だった。オンラインでの開催は、予定の会期までにスタートすることを目指しているが、これから開催のしくみを構築するため、見通しは立っていない。

総合開会式は、高知県内の生徒によるミュージカルなどを、新型コロナウイルスの状況に応じて、無観客やライブ配信などで上演することを模索している。開会式後に実施するはずだったパレードは中止の方向だ。

「全てが中止じゃない」生徒は前向きに準備中

全国総文祭開催に向けて、高知県の高校生たちは生徒実行委員会を作り、数年前から準備を重ねてきた。通常開催の見送りを受け、「(対面での)交流ができないのは残念だが、全てが中止になったわけではない」と前向きに準備を進めているという。