インカレサークル男女の罪悪感のなさに危機感、社会に出て差別に加担してしまうのでは

東京大学の2020年度教養学部オリエンテーション委員会は、東大の女子学生の加入を拒む団体の新歓活動を認めない方針を示した(写真は「東京大学新聞」2020年2月4日付)

以上のように、私は卒論で、「なぜ東大女子は排除されなければならないのか」という問いをきっかけとして、「東大女子お断り」のインカレサークルで何が起こっているのか調査し、二重の差別構造を見出しました。しかし、それよりも引っかかったのは当人達の罪悪感の無さです。彼ら、彼女らはあくまでも伝統を受け継いでいるだけで、男女差別に加担しているという意識がかなり希薄でした。第三者の立場から見たら明らかに男子優位のいびつな構造に思えるのに、「伝統だから」という言葉を使えばそのおかしさは帳消しになる不思議さ。このようなインカレサークルに所属する男女が社会に出て、また悪意無く新たな差別に加担する可能性があると思うと危機感を覚えます。

学生のジェンダー意識を高め、おかしさに気付くことができるようにする必要性はかなり高いと思います。また伝統に浸かった内部からの改革は困難だと考え、東大学生支援課など外部の権力から「東大女子お断り」に始まるジェンダー差別を撤廃するよう圧をかけるのも有効でしょう。しかし、サークル活動はあくまでも学生の自主活動です。外部権力がどれほど介入できるかという問題もあるでしょう。

1月、学生団体である2020年度教養学部オリエンテーション委員会は東大の女子新入生の入会を断る団体が新歓活動に参加することを認めないと発表しました。このような外部からの働きかけがどう有効に作用するのか、学生の意識はどう変わるのか、引き続き注目していきたいと思います。