東京大学の学生生活はユニークです。1・2年生は専門の学部には所属せず、全員が駒場キャンパス(東京都目黒区)の教養学部で幅広い科目を学びます。学生たちは、授業やクラス、サークル、学園祭、学外の団体などさまざまな場所で高校までとは様変わりした毎日を送っています。今回からシリーズで、多和田萌花さん(文科三類2年)に東大の学生生活を教えてもらいます。
今回は、東大合格後から入学式までに経験するイベントについて紹介します。
まず3月下旬に、キャンパスで入学に向けての「諸手続き」があります。東大生は科類と選んだ語学によってクラスに分かれます。この日に自分が所属するクラスが分かり、そのクラスの1学年上の先輩たち(「上クラ」といいます)の人と対面します。
数時間続くサークル勧誘にびっくり
実は上級生にとって、この日のメインは「テント列」と呼ばれるものの方です。諸手続きが終わって校舎から出てくる1年生を待ち受け、部活やサークルの説明をするために設けたテントに勧誘します。東大は1学年の人数が多いこともあり、サークルは星の数ほどあるため、テント列も驚くべき長さです。 その上、上級生は自分たちのサークルへの新歓をしようと必死になっているため、なかなか前へ進むことができず、新入生はこの列を抜けるのに数時間かかると言われています。私が東大に来て一番びっくりしたイベントです。
その後文理別の2日間にわたるサークルオリエンテーションを終えると、いよいよ「プレオリ」と「オリ合宿」です。
上級生が企画するクラス合宿
プレオリでは、クラスメイトと対面したり、簡単なアイスブレイクをしたりします。私たちのクラスの場合、最初はみんな緊張している様子でしたが、プレオリを終えてみんなでご飯に行くころにはすっかり打ち解けていました。このように、東大ではコミュニティがクラス単位にもあることが特徴で、大学に入ったばかりでも友達ができやすいです。
1泊2日のオリ合宿は、「オリ長」と呼ばれる役職の人を中心に、上クラが下クラのために企画してくれる旅行です。任意参加ですが、ほとんどの新入生が参加します。行き先はクラスごとにさまざまですが、レクや観光などを通してクラスメイトと仲良くなれます。私のクラスは山梨に行き、ほうとうを食べたりいちご狩りをしたりしました。また夜には履修会議があり、複雑な東大の履修システムや進振り(3年生から所属する学部を決める進学選択制度)について上クラに教えてもらいつつ、シラバス(授業案内)を見ながらみんなで履修を考えるので安心です。
そして、なんとこれらのイベントは全て入学式前にあるのです。入学式を待たずして、充実した大学生活が始まること間違いなしです。
半数が女子の文三スペイン語クラス
参考までに、私のクラスは東大の中でも女子が多い文科三類、さらにフランス語と並んで毎年多くの女子に選ばれるスペイン語クラスであることもあり、なんと40人中18人が女の子です。女子が少ない東大でこの話をすると、必ず異様な男女比だと言われますが、そのおかげかとても活気があって仲が良いクラスです。桜がきれいなころにはみんなでお花見をしたり、授業期間には、授業のない空きコマに駒場の近くのご飯屋さんを開拓したりもしました。