家具や家電の購入、引っ越し代……一人暮らしを始めるにはお金がかかる。物価高が続き生活費も高騰している中、一人暮らしを始める費用や生活費はどう変化しているのか。大学生の部屋探しに詳しい生活協同組合連合会大学生協事業連合の龍王昂太郎さんに聞いた。(木和田志乃)
初期費用は約46万
―家賃の平均額や、昨今の「物価高」に伴う家賃上昇の現状や影響を教えてください。
全国大学生協連の「2024年度保護者に聞く新入生調査」では、一人暮らしをしている大学生の住む部屋の家賃は全国平均で4万9800円です。東京に絞ると6万5700円になります。
単身者向けの物件の家賃は物価高の影響はあまり出ていませんが、食事付きの物件や光熱費が固定されている物件は値上がりしています。ルームクリーニング代も上昇していますので、退去時の清掃費用も上がってきています。
―一人暮らしを始めるにあたって、部屋の契約費や新生活に必要な家具家電など、初期費用はどのぐらいかかりますか?
全国平均では、入居費用(敷金、礼金、仲介手数料など)が22万300円、部屋探しに関わる交通費と宿泊費の合計が4万3900円、家具家電その他の小物類の合計が20万3500円です。合わせて46万7700円が必要な金額の目安になります。
―初期費用を抑えるコツはありますか?
一つは最近増えてきている家具家電が備え付けられているマンションに入居することです。新しく家具家電を購入する必要がないので、その分の費用が浮きます。ただし、家具家電付きマンションにこだわるとマンション選びの選択肢は限定的になります。
新生活を始めるにあたってすべての家具や家電が新品である必要はないので、中古品の使用も視野に入れてください。最低限生活できるだけの物を準備できていれば、小さな物は生活を始めてからでもそろえられます。
図表4 初期費用を抑えるコツ
それから、部屋探しのために現地に行く時にも交通費や宿泊費がかかります。訪問後に「思っていたのと違う」と言って再訪する方がいますが、あらかじめ情報収集をしっかりしておけば1回ですませられます。
食費を削る学生が増えた
―一人暮らしの場合の収入と光熱費、食費など、月々に必要な生活費の内訳を教えてください。
2023年の「学生生活実態調査」によると、下宿生の収入は全国平均で月に12万9000円です。そのうち保護者からの仕送りが約7万円、アルバイト収入が約3万6000円、奨学金が約1万9000円です。
支出の合計は12万7500円となっています。最も大きな割合を占めるのが光熱費を含めた住居費で約5万4000円。次に多いのが食費で約2万5000円。その他、教養娯楽費が約1万2000円、貯金・繰り越しが1万4000円です。

―物価高の影響を受けて、一人暮らし学生のお金の使い方にどんな変化が見られますか?
収入面が増えているわけではないので、食費を削っている印象があります。前述の調査の結果では、下宿生の食費は前年に対して増えています。ただし長期的に見た場合、物価が高くなっているにもかかわらず、2018年と食費はほとんど変わっていません。さらにもう少し細かく見てみると特に夕食代が減っています。外食をしない、賄い付きのバイトを選ぶなどで、夕食代の支出を減らしているようです。
以前に比べると貯金が増えています。アルバイトをして稼いだお金は将来の奨学金返済のためにためておきたいという意識が高まっているように思います。