引っ越し費用は年々上がり、さらには希望した日に転居できない「引っ越し難民」が増えている。進学を期に一人暮らしを始める人に向け、「引っ越し難民」にならない方法や最近の引っ越し事情を、大学生の部屋探しに詳しい生活協同組合連合会大学生協事業連合の龍王昂太郎さんに聞いた。(木和田志乃)
引っ越し代、5年間で1万円値上がり
―人手不足で引っ越し料金も値上がりしていると聞きます。引っ越し費用の現状を教えてください。
全国大学生協連の「2024年度保護者に聞く新入生調査」では、引っ越しにかかった費用の全国平均は4万2600円でした。19年には2万9700円だったので、5年間で1万円強も値上がりしています。

異動や進学が重なるため、引っ越しは3月下旬から4月の初めに集中します。加えて運送業界の運転手不足やガソリン代の高騰もあり、費用は今後も値上がりする可能性があります。
―引っ越し業者に依頼した方がよい場合と、個人で済ませる場合のメリットデメリットを教えてください。
業者に依頼すると、大型家具も対応してもらえることがメリットです。傷つかないように保護し、手際よく運んでもらえます。ただ、もちろん料金が発生しますし、引っ越しのピークに重なる場合は高騰します。日時もこちらからは指定できず、朝早い時間や夕方遅い時間を指定されるなど、拘束時間が生じることがデメリットです。
一方、個人で引っ越す場合は費用が抑えられます。ただし、トラックや梱包(こんぽう)資材の手配から運転、家具に傷を付けずに運ぶことまで個人で行うと、手間と時間がかかります。
「家具家電」が付いてる物件や現地調達も視野に
―2024年は「引っ越し難民」が深刻化したと聞きました。引っ越し業者を選ぶコツや予約のタイミング、費用を安く抑える方法を教えてください。
引っ越し業者を利用する予定のある方は、部屋が決まったらオンライン見積もりサービスなどですぐに見積もりを取って手配するのがよいと思います。国公立大学の後期日程の合格発表は3月20日以降だったので、結果が出てから部屋を決めた学生は、引っ越しに非常に苦労したと聞いています。中には引っ越し業者が手配できず、4月第2週ぐらいまでホテル住まいをすることになった方もいたようです。

引っ越し費用を抑えるためには自宅から持っていく物をできるだけ減らすことが重要です。本当に送りたい物だけをチョイスして、自分で梱包して宅配業者に運んでもらうなど、引っ越し業者に頼らないように計画してみることも必要です。
大学生協がおすすめする「新生活用品サイト」の活用も検討してください。大学生が一人暮らしをする上で必要な物がそろっており、注文した商品が一括で届くので便利です。