「闇バイト」が横行するなど、物騒な世の中だ。一人暮らしをしている人の中には、トラブルに巻き込まれた経験がある人もいる。これから一人暮らしをする新大学生に向けて、安全面を重視した部屋選びのチェックポイントを、大学生の部屋探しに詳しい生活協同組合連合会大学生協事業連合の龍王昂太郎さんに聞いた。(木和田志乃)

騒音や喫煙でトラブルに発展

―一人暮らしの学生が遭遇するトラブルや犯罪にはどんなものがありますか?

全国大学生協連が2023年に行った「学生生活実態調査」では、空き巣・泥棒・盗難、訪問販売・キャッチセールスによるトラブル、宗教団体やカルトからのしつこい勧誘、ストーカー被害に巻き込まれたという例が報告されています。さらに近隣とのトラブルも多く、騒音やベランダでの喫煙によってトラブルに発展するケースが見られます。集合住宅ですのでマナーを守って生活することが大切です。

「大学までの経路」「住まいの共有部」を確認

―安全性が高い部屋を選ぶためには、どんなところをチェックすべきですか?

一般的に、自分の通う大学の近くに住む大学生が多いでしょう。駅や大学までの経路を確認してください。車の往来や人通りの多いことや、夜でも街灯などがあり明るいかなど、周辺環境をチェックしましょう。保育園や小学校の近くは防犯意識が高いとも言われていますが、大学周辺の地域の特徴については不動産業者や大学生協のスタッフに聞いてください。

安全な部屋選びのコツ

―内見時、住まいの設備で見るべきポイントはありますか?

オートロックやモニター付きインターホン、監視カメラ、宅配ボックスは設置されていた方が安心です。ただし、「上階でオートロックだから安全」ということはありません。部屋の鍵を閉めずに出掛け、空き巣などの被害に遭うこともあります。各自が防犯意識を持つことが大切です。

玄関や共用部を要チェック

共用部は要チェック

エントランスや階段といった共用部がきれいに保たれているかも、住まいを選択するにあたって重要な要素です。どんな人が住んでいるかの目安になりますし、管理会社がどこまで物件を手入れしているかが分かります。管理会社の対応が分かると、防犯上の問題が起きたときの素早い対応にもつながります。防犯面が気になる方は駐輪場、ゴミ置き場が死角になっていないかも確認してください。

―女性専用マンションもありますが、女性にとって安全性が高いのでしょうか?

設備に関しては、女性専用でなくても安全性の高いマンションは増えています。女性専用が安全かどうかは捉え方により、「入居者が全員女性だから安心」という声もあれば、「女性しかいないと分かるのは不安だ」という声もあります。

オンラインだけで部屋を決めるのはリスキー

―遠方に住んでいる場合、オンラインの情報のみで決めるのは危険ですか?

オンラインだけで決定する方は年々増えています。全国大学生協連の「2024年度保護者に聞く新入生調査」によると、2019年には11%程度でしたが、24年では約24%の方がオンラインのみで決めたと答えています。しかし、住居に関しては可能であれば周辺環境も含めて実際に現地を見ていただく方がよいです。オンラインのみで決めて、「イメージしていた部屋と違い、すぐに引っ越しをすることになってしまった」など後悔したという話も聞きます。

―入試に合わせて見学しても間に合いますか?

大学によって部屋が埋まっていく時期がさまざまです。試験当日でも希望の物件が十分に残っている地域でしたら、その時に見学することをおすすめします。試験当日では人気物件は残っていないという地域では、オンラインで情報収集し、部屋を押さえた上で、試験日に見にいくといいでしょう。