理系学部の魅力を語る東大の女子学生たち

17年度入学者から月3万円家賃を補助

東京大学は2017年4月から、自宅外から通学する女子学生を対象に、家賃を月3万円補助する制度を始める。入学者の2割弱にとどまる女子学生を増やすのが目的だ。

自宅から駒場キャンパスまで通学すると90分以上かかる女子学生が対象。キャンパスに近く、セキュリティ・耐震性が高く、保護者が宿泊可能なマンションなどを約100室確保し、家賃支援として月3万円を最長2年間(総額72万円)補助する。自己負担は月4〜5万円になるという。保護者の所得制限は設けない。対象となる住まいや申し込み方法は1月中旬に大学のウェブサイトに掲載する。

東大は性別にかかわらず活躍できる男女共同参画を重視している。女子高校生向けの説明会を開いたり、女子学生に母校を訪問してもらったりしているが、入学者に女子が占める割合は2割弱にとどまっている。家賃支援によって、地方の女子高校生に東大進学を選択肢に入れてほしい考えだ。

理系の魅力 女子が発信

東大は10月29日、女子中高校生と保護者らを対象としたイベント「家族でナットク! 理系最前線」を開いた。理系の研究者や、理系学部を卒業した社会人、現役女子学生らが理系の魅力を語った。

東大薬学部と修士課程を経て製薬会社で新薬開発に携わる脇村由香さんは「科学技術で人類に貢献したい」と考えていた高校時代や、実験に打ち込んだ学生時代を紹介。進路選択について「実際に仕事をしている人の話を聞くこと」が役立つと話し、「(周りの大人に)勇気を出して話を聞かせてほしいと言えばいい」とアドバイス。

東大の現役女子学生も登壇。理学部生物学科の学生は「三崎(神奈川)、日光(栃木)、秩父(埼玉)などでの実習を紹介。多様な生物に触れられる」と話した。学科は、東大には珍しく男女比が1:1だという。農学部生は「農学は農業だけではない」と、留学生が多い「農学国際専攻」や水の生物全般を扱う「水圏生物科学専攻」をアピール。

工学部生は、社会システムの課題を理系の知識で解決する「システム創成学」について解説。薬学部の大学院生は、脳の研究をしていることを紹介した。

高校生の娘を持つ母が「数学が行き詰まっている」と相談すると学生たちは「東大入試は文系科目の配点も多い」などとアドバイスしていた。