東京大学は3月10日、2021年度入試から推薦入試の要件を変更すると発表した。これまで1校から推薦できる人数を「男女1人、合計2人まで」としていたのを「合計4人まで(男女各3人まで)」と改める。東大は推薦入試を16年度入試から導入したが、5回の実施で一度も募集人数(100人程度)に合格者数が達していないことから、志願者数を増やす方法を検討していた。

東大は変更の理由を「高校などにおける受験希望者数に配慮しつつ、受験生の多様性を高め、

学部教育のさらなる多様化・活性化をはかる」と説明している。

合格者は一度も定員に満たず

東大の推薦入試は、一般入試と異なり、学部ごとに推薦要件や試験内容を定めるのが特徴で、高校時代の学習や学校外の活動、大会成績などの要件を定めて高校教員による推薦書や生徒による志願書の提出を求め、学部ごとに面接や討論、発表などを課して合否を決めている。

10学部あわせて100人程度を募集しているが、志願者数は最も多かった19年度入試で165校の185人。5年間で一度も志願倍率が2倍に達していない。

その結果、合格者数は最も多かった16年度入試で77人。合格者数は5回とも募集人数に満たなかった。2月に合格発表を行った20年度入試には151校の173人が志願し、73人が合格した。

東大が2月12日に開いた推薦入試などに関する記者会見

志願者数「できれば300人に」

2月の記者会見で東大の福田裕穂理事・副学長(入試担当)は「(志願者が)200名台、できれば300名台にならないと(いけない)」と語る。志願者が伸び悩んでいる原因の一つとみられていたのが、推薦できる生徒を各高校から男女1人と限っていることだった。

高校400校にアンケートを実施

東大では、推薦入試の改革のワーキンググループを設けて、推薦入学者や指導教員の意見を聞いているほか、高校400校にアンケートを送り、265校から回答があった。武田洋幸・推薦入試委員会委員長(理学部長)によると、指導教員からは「一般の学生に比べ学習意欲が高く優秀であるという評価」が多いという。一方で、推薦入試について高校に「十分に伝わっていない可能性がある。私たちの努力不足。さらに努力したい」とも話していた。