東京大学は11月29日、2021年度入試の出願資格として英語力の証明を求めることを取りやめることを発表した。文部科学省が英語民間試験を入試に利用するシステムの導入の延期を決めたことを受けた対応だ。

東大は2018年9月、文部科学省や国立大学協会の方針を受けて、2021年度一般入試から出願資格として英語力の証明を求める方針を示していた。具体的には(1)国が設けた成績提供システムで認定された民間試験の成績(2)高校の先生による証明(3)どちらも提出できない場合はその理由書―のいずれかの提出を求めるとしていた。

東大の福田裕穂理事(中央)ら

ところが今年11月1日、文部科学省が民間試験の成績提供システムの開始を21年度入試から「延期」すると決定。東大の福田裕穂理事は今月あった記者会見で「去年(英語力を)出願資格として利用する(と発表した)と同時に(民間試験の利用に)さまざまな問題点があることも指摘し、関係者が集まり議論する場を設け、受験生が安心して受験する場を設けてほしいと主張してきた。(システムを延期する文科省の決定は)その検討が不十分で受験生の安心を得るに至っていないという判断だったと思う」「(民間試験利用の)前提がくずれている」などと述べ、英語力を出願資格にするのは難しいとの考えを示していた。

東大は、2021年度入試からの大学入学共通テストで導入される予定の国語・数学の記述式問題については利用する方針を示しているが利用方法の詳細は明らかにしていない。