激しい下痢に嘔吐(おうと)をもたらす、ノロウイルスやロタウイルスによる感染性胃腸炎。予防や対策方法などを消化器内科医の山岸征嗣先生に相談した。(野口涼)

Q.感染性胃腸炎とはどんな病気ですか?

A.ウイルスや細菌に感染して起こります。ノロウイルスの流行のピークは11〜1月です。

感染性胃腸炎(おなかの風邪)の原因になる

激しい下痢や吐き気などをもたらす感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌による感染で起こります。これからの時期だとノロウイルス、ロタウイルスが有名ですね。それぞれ数十種類のウイルスがあります。ロタは赤ちゃんのころから感染を繰り返すうちに免疫がつくため、症状は軽くなっていきます。高校生がかかるのは、ノロのほうが多いといえるでしょう。

 

ノロ、ロタとも流行はこれからで、ノロは11〜1月、ロタは少し遅く3~5月にピークを迎えます。受験生はしっかりとした対策が必要です。ちなみに食中毒として夏場に話題になる感染性大腸菌O157は、同じ感染性胃腸炎ですが、ウイルスではなく細菌感染によるものです。

 

Q.感染経路と予防方法を教えてください。

A.生ものは避け、せっけんで手を洗うことが大事です。

かきなどの二枚貝を生で食べない

かきなどの二枚貝を生で食べた場合に感染することが多いほか、人から人にうつります。ノロウイルスは、体に入った量が少なくても発症する、感染力が強いウイルスです。受験生の家族全員が生ものを避けるのが一番良いですが、どうしても食べたい場合は85度で1分30秒加熱処理すれば大丈夫だといわれています。表面だけでなく、内部までしっかりと加熱するようにしましょう。生ものを調理した包丁やまな板に菌が残り、集団感染を起こすこともありますので注意が必要です。

せっけんで手を洗い、流水で流す

感染者の嘔吐(おうと)物や便には、かなりの数の菌が含まれています。インフルエンザウイルスのように咳などでは感染しませんが、床に残っていた汚物が乾燥して舞い上がったり、手に触れる場所に付着していたりすることもあります。流行期間中は特にせっけんでしっかり手を洗い、流水で流すことを心がけましょう。ノロウイルスにアルコール消毒は効きません。

山岸征嗣先生

 

やまぎし・せいじ 医療法人社団めぐみ会自由が丘メディカルプラザ消化器内科医師。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。