修学旅行は高校生にとっての一大イベントだろう。女優やモデルとして活躍中の飯豊まりえさんは、忙しい芸能活動のため、なかなか学校行事に参加できなかった。高校時代、心にあったのは「修学旅行に参加したい」という切なる願い。支え続けた担任とのエピソードを明かしてくれた。(文・中田宗孝、撮影・幡原裕治)

支えてくれた担任に感謝

いいとよ・まりえ 1998年1月5日生まれ。千葉県出身。2008年、ファッションモデルとして芸能活動を始め、現在は「Oggi」「MORE」のモデルを務める。12年、女優デビュー。9月27日公開の映画「惡の華」に出演。20年1月10日公開の映画「シライサン」では、主演を務める。

9歳で芸能活動を始めた飯豊さんは、仕事の都合で小・中の学校行事に参加できないことが多かった。「だから高校受験の面接では、『修学旅行に参加するのが目標の一つなんです』と、強い思いを伝えました」

高校入学後も仕事は多忙を極めてしまう。だが、担任からの「学業も仕事と同じくらい大切なことだよ」という言葉に突き動かされた。「担任は受験の時の面接官だったんです。『学校もおろそかにしないぞ』と、気持ちを引き締め直しました」

念願だった修学旅行では「友達とたくさん思い出を作れました」と笑う。高校2年が終わりに近づいたある日、担任に「君を修学旅行に絶対連れて行きたかった。希望をかなえられて良かったね」と声を掛けられ、胸が詰まった。「面接時の私の思いをずっと覚えていたんです……。とても厳しい先生でしたが、いつも情熱を持って私と向き合っていただき、感謝しています」

決断したら行動しよう

進路や将来の夢、決断に迷う高校生には「何より自分の意志を優先して」とアドバイスを送る。「最終的には自分の道は自分で決める。後々、後悔しないためにも。私もそうしてきました」

決断したら行動に移すことも大事だという。「自分の挑戦が成功するかもしれないし失敗するかもしれません。でも目標や夢を実現させるには、やってみることから始まるんです」

納得いくまで心の演技

青春ファンタジー小説を実写化した映画「いなくなれ、群青」では、ヒロインの女子高校生を演じる。共演者のせりふを受けて悲しさを表す演技に苦戦し、監督からの「心まで開放して」という演技指導に必死で食らいついた。「私は相手のせりふを目で(表面だけで)受け止めてしまったんです。そうではなく、心の内側からのアプローチが必要だと気が付きました」

そして、自らも妥協なく納得がいくまで心の演技に臨んだ。「気持ちのこもった、胸に迫る1シーンに仕上がりました」と、達成感をにじませた。

いなくなれ、群青

 

「捨てられた人たち」が暮らす階段島。島の男子高校生・七草(横浜流星)も、なぜ自分が捨てられ、どうして島に来たのか理由を知らない。そんな折、七草は幼なじみの真辺(飯豊まりえ)と久しぶりの再会を果たす。真辺は、七草らを巻き込んで島の謎を解き明かそうとするのだが……。
配給:KADOKAWA/エイベックス・ピクチャーズ。全国公開中。
©河野裕/新潮社 ©2019映画「いなくなれ、群青」製作委員会