３月の全国高校ボクシング選抜大会バンタム級で、初の全国優勝を果たした森坂嵐（奈良・奈良朱雀３年）＝大阪・長尾中出身。世界大会への出場経験も持つ強者が、最後のインターハイで初優勝を狙う。（文・写真　白井邦彦）

 
 

１年時は「簡単にインターハイで上位にいける」と思っていたが、県予選で敗退。昨年は出場を果たしたが３位止まり。アジアユース選手権８強、世界ユース選手権16強の森坂にとって、インターハイは特別なタイトルだ。
　米田弘樹監督（39）は、森坂の持ち味を「スタミナとボディーバランス」と話す。部活で毎朝こなす600メートル×５本のランニングでは、常に先頭で走る。放課後は１時間半ほど学校で汗を流し、その後はボクシングジムで約２時間の練習を続けてきた。日々繰り返すボクシング漬けの生活で、無尽蔵のスタミナを身に付けた。

強烈な左フックが武器
　試合の約２週間前からは減量生活が始まる。「試合の２、３日前は、１日に500ミリリットルの水しか飲まないこともある。苦しい。でも、減量中の研ぎ澄まされた感覚は好きですね」
　普段は、他の部員からイジられる愛すべきキャラだが、ひとたびリングに上がると鋭い眼光で相手をにらみつけ、強烈な左フックと、それを生かすコンビネーションで勝負してきた。
　悲願の初優勝を懸けた戦いが、間もなく始まる。
　「夢は東京五輪で金メダル。その前にインターハイのタイトルをしっかり取ります」

【写真説明】：１月のアジアユースで韓国の長身選手を破った自信が選抜初優勝へつながった