スパーリングに励む並木月海。男子選手顔負けのパンチを繰り出していた

普段はあどけないが、ボクシンググローブを着けると強烈なパンチを連打する──。並木月海(埼玉・花咲徳栄2年)は3月の全国高校選抜大会・女子フライ級で初優勝を飾った、女子ボクシング界の新星だ。その拳でつかみ取ろうとするのは「世界一」の称号だ。
(文・写真 茂野聡士)

パンチ力は男子顔負け

いくつものサンドバッグと2つのリング。並木は、設備が充実している花咲徳栄のボクシング道場で練習に励んでいる。スパーリングパートナーは、何と男子大学生。並木が男子顔負けの強烈なパンチを繰り出すと、相手は思わずのけぞっていた。

「私はドンドン前に攻めていくタイプ。強打のパンチャーなのでTKOを狙っています」

幼少のころは空手とキックボクシングを習っていたが、中学時代に「蹴りは使わず、パンチだけで戦う」面白さを知り、ボクシングを始めた。高校入学後も競技を続け、昨年12月には全日本女子選手権ジュニアの部(ライトフライ級)で優勝した。

木庭浩介監督は並木に「フットワークを使い、パンチのコンビネーションを意識させる」ことで、機動力と攻撃力を備えた総合力の高いボクサーに育てようとしている。並木もまた「監督がスパーリングで指摘してくれる点を改善しようと常に思っています」と貪欲だ。

登校に2時間半

千葉県成田市から毎日、片道2時間半かけて登校している。朝4時起床のため「朝は眠いときもあります」というが、「電車の中で勉強しています」。時間を効率的に使い、ボクシングと学業を両立させている。

憧れるボクサーは、高校のOBでもあるWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志だ。「内山先輩のように、フットワークが軽やかでパンチ力も強いボクサーになりたいです」

当面の目標は全日本選手権、高校選抜の連覇だ。そしてもう一つ、大きな夢がある。

「2020年東京五輪の日本代表になって、金メダルを狙いたいと思っています」

なみき・つきみ 1998年9月17日生まれ、千葉県出身。14年3月、全日本UJボクシング大会・女子中学生の部優勝。同年12月、関東高校ボクシング女子選抜大会・フライ級優勝。