ストイックに練習に励む堤駿斗。武器は強烈なボディブローだ

全国高校ボクシング選抜大会で1年次はフライ級で、2年次はバンタム級で優勝するなど、2年間で4つの「高校日本一」を手にした堤駿斗(千葉・習志野3年)。昨年はアジアユース選手権や世界ユースを日本人で初めて制すなど、すでに国際大会でも着実に実績を積み、3年後の東京五輪を見据えている。(文・小野哲史、写真・中村博之)

「継続は力」信じて 

中学時代から何度も出稽古で訪れていたボクシングの名門・習志野高校に進むことは、堤にとって自然な流れだった。「一人一人の意識が高く、練習中の盛り上がりがすごかった。こういう良い環境で高校3年間を送りたかった」

「出る大会は全て優勝し、海外でも活躍したい」という目標を胸に、高校生活のスタートを切った。しかし、1年次の全国高校総体(インターハイ)は惜しくも準優勝に終わり、日本代表として出場したアジアジュニア選手権と世界ジュニアはともに初戦敗退。「挫折を味わった」と振り返る。

ただ、堤は「そこで諦めることなく『継続は力なり』という言葉を信じてトレーニングを続けた」。朝は約30分間のロードワークを行い、学校では放課後に約2時間、スパーリングなどの実戦練習で汗を流す。その後、ジムへ行き、ミット打ちなど基礎練習で技術を磨く。

そうした努力は、次第に実を結び始める。「1年生の秋ごろから良い流れになってきた」。10月の国体ではインターハイ決勝で敗れた相手に雪辱して優勝。翌年3月の全国高校選抜も制すなど、実績を積んできた。

 東京五輪「金」目指す 

2年生になると、インターハイ初制覇など、国内の大会で強さを発揮する一方、国際大会でも結果を残した。5月のアジアユースと11月の世界ユースでの金メダル獲得は、日本人初の快挙だった。「海外の選手はパワーがあり、手足の長さを生かした戦い方をする。どう距離を詰めて自分のボクシングをするか、しっかり対策を立てました」と胸を張る。

部のキャプテンとなり、「個人戦だけでなくインターハイの学校対抗でも日本一になりたい」と意気込む。取材日のスパーリングでは、予定より多いラウンド数をこなしていた。それも「みんなに少しでも自分から何かを盗んでもらえれば」と、チーム全体のレベルアップを意識しているからにほかならない。

「東京五輪で金メダルを取り、将来はプロになって世界チャンピオンになりたい」。壮大な夢を胸に抱きながら、高校最後の1年に挑む。

つつみ・はやと 1999年7月12日、千葉県生まれ。千葉・椿森中卒。本多ボクシングジム所属。小学5年時に空手から転向し、U-15全国大会、アンダージュニア全国大会、第1回全日本アンダージュニアボクシング王座決定戦など中学時代から多数のタイトルを獲得。171センチ、62キロ。