どんなリングでも「勝たなあかん」という決意で、中嶋憂輝(奈良・王寺工3年)=奈良・郡山中出身=はこぶしを鍛えてきた。

8月の全国高校総体(インターハイ)ボクシングのピン級(46㌔以下)決勝。中嶋は、得意の左ストレートで効果的にポイントを奪い判定勝ち。1、2年時に全国高校選抜大会を制したタイトルホルダーに、新たな冠が加わった。

「以前はパンチをもらうと、すぐにカッとなっていました」と中嶋。2年時のインターハイは1回戦敗退。苦い経験を糧に、攻められても冷静に対応できる精神面の成長を示した。

来年4月からは、2012年ロンドン五輪ボクシング日本代表コーチの樋山茂さんが指導する「芦屋学園ボクシングクラブ」で鍛えるため、芦屋大学に進む。大学では階級が1つ上がり、ライトフライ級(アマチュアは46 ~ 49㌔)になる。「まずは体をつくりたい。大学のリーグ戦、国体、全日本選手権のタイトルを取って、東京五輪に出る」と目標を定める。

25歳で迎える2020年東京五輪のリングへ。中嶋の新しいサクセスストーリーが動き始めた。(文・写真 中尾義理)

◆なかじま・ゆうき 1995年7月19日、奈良県生まれ。兄の影響で小学4年時にボクシングジムを見学し、競技を始める。右利き。左ストレートが得意。164㌢。